おぼんでございます | 不思議なできごと

不思議なできごと

できるだけオリジナルな、或いはそれに近い怪異譚を公開してゆきたいです。

みなさま、お盆でございます。
お久し振りでございます。
 今日は「ほん怖」がありますね?BSでは稲川さんも登場の、楽しみな土曜日です。
 あ、それはそうと、お盆なのに何も書き込まないというのも何かと思いまして、ちょっと手抜きではございますが、お話させていただきます。

まずはこちらのリンクをお読みください。
第14回 作家 西丸震哉さん 幽霊にとり殺されそうになる 

 これは食生態学者であり、探検家であり、登山家でもあった西丸震哉氏の体験談なのですが、なんとも薄気味悪い話です。

 かいつまんでお話すると、西丸氏が釜石に赴任した頃のある日海岸の堤にもたれかかる浴衣姿の二十七,八になるかと思われる色白の美人を見つけます。しかしその前を通り過ぎるとふっと消える。そんなことを何回も繰り返す内、とことん調べてやろうと思い、「お晩です」と声をかけ、反応がないので肩のところを手で突こうとすると、“指先は何の抵抗も感じず,同時に女も消え去ってしまった”のでさすがにぞっとした。
 その後も何回かその女の姿を見かけたことはあるが、あえて近付かないようにしいていたが、ある日、女は西丸氏のねぐらにしている場所の中にまで毎日出てくるようになってしまった。ただし、当初は五メートルほど離れたところから一晩中こちら側を向いているが、何をされるというわけでもないので、そのまま無視を決め込んでいたが、それでも気持ち悪いので、ベッドをまったく別の場所に移動したが、一か月後に彼女が現れたときには,ベッドのすぐ横に立ち,寝ている彼を上から見下ろしていることがわかった。ただ、その頃でも女の視線は西丸氏ではないどこかに飛んでいるので大丈夫と思っていたが、しかし或る日、彼の目の中をまばたきもせずにジーッとのぞき込んでいるのがわかり全身が粟立つ経験をする。さすがの西丸氏もこれにはこたえたので訳を話して転属を願い出た。というお話です。

 自分がここで興味深いのは、当初相手は見えるだけのもので、出る場所も決まっていたのにもかかわらず、その後西丸氏を追いかけるように移動したこと。そして、最初は虚空を見詰めていただけの瞳が、やがで西丸氏の目の中を覗き込むようになったこと。
 このことがなんとも謎です。ちょっかいを出した西丸氏が悪いのでしょうか。彼がちょっかいを出さなければ、こういうことにはならなかったのでしょうか?
それとも西丸氏は最初からこうなる運命だったのでしょうか?
興味深い話なのです。

 西丸氏は多くの著書があります。このテのお話は「未知への足入れ 」「山だ原始人だ幽霊だ」そして「山とお化けと自然界」(前2作などからまとめたオムニバス作品)に沢山掲載されています。ご興味がおありの方々はぜひご一読をお勧めいたします。