今月は、筒井康隆の本が3冊もリリース!「笑犬樓の逆襲」「文学外への飛翔(文庫)」「哲学の冒険「マトリックス」でデカルトが解る」 のうち、まずは、ツツイストが一番楽しみに待っていただろう一冊「笑犬樓の逆襲」を完読。

本作は、断筆後の1998年から雑誌が休刊となる2004年4月までの間、政治家から芸能人までをめった斬りにする暴露雑誌「噂の真相」 で連載していたエッセイ「狂犬樓の逆襲」を中心に、阪神大震災に関するエッセイ、映画「わたしのグランパ」リーフレットや舞台「フリン伝習録」チラシのコメント、「創作の秘密」などのインタビューを加えたもの。

まず、雑誌連載時のタイトル「狂犬樓の逆襲」と単行本のタイトルが微妙に違っている点にお気づきだろうか?エッセイ「狂犬樓の逆襲」が、狂犬というほど世の中に対して歯向かっていないという著者の判断で、この度単行本を出版するにあたっては「笑犬樓の逆襲」とタイトルを変えている。あと、「狂」という文字が出版業界では御法度なので、広告に載せてもらえないかもしれないと危惧した点も考慮されているようだ。このあたりについては本誌にも記載の、「噂の真相」における本当に最後となるエッセイ「噂の真相休刊記念別冊 追悼!噂の真相」に記述されている。

確かに、本著のエッセイ部分は、断筆直前までのエッセイを集めた前作「笑犬樓よりの眺望」 と比べると、少々毒が抜けた感じは拭えない。相変わらず、名指しで評論家や政治家などの文句を書いているのだが、まあ、アリかなといった範囲で収まっている。断筆後にホリプロに所属し、演劇に力を注いできたことが、狂犬樓を笑犬樓にしたらしめたといったところか。前作に比べると、格段に、演劇のおもしろさ、すばらしさ、出会いなどに触れたエッセイが多い。

お蔭で、いままでさほど演劇に興味がなかった私だが、もっと舞台を観てみようかなと思えたことは大きな収穫。「フリン伝習録」の再演を切に願う。

個人的には、シラク、ブッシュ、ブレア、金正日が大阪弁で戦争について語り合うエッセイには、あまりにも阿呆らしくて、妙にリアルで笑い泣き。

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