最終日は試験があります。

私はアオを看てくれるために、

岐阜から来てくれている母に、

何度も愚痴りました。

「行きたくないよ~。

私だけ落ちるに決まっている。」

母も

「それだけレベルが違うと、

ケン先生も認定できないと思う。

看板を背負ってインストラクターをするわけだから、

あまりレベルが低いとIYCの質も下がるしね。」

そして、ついに母が

「お金はもったいないけど、

そこまで無理して行って、

恥ずかしい思いや惨めな思いを

する必要はないんじゃない?

最終日は行くのやめなよ。」

と言い出しました。


ひねくれものの私は、行くな、と言われて、

やっぱり頑張って最後まで行こう、と思いました。

とにかく事の結末をこの目で見よう、と思いました。

みんなの前で一人だけ落ちたとしても、

この講習は本当に意義のあるものであったし、

それだけでも十分です。


帰りの電車の中で私はヘトヘトでした。

家に着いたのは夜の9時半です。

私はずっと手に握り締めていた認定書を

すぐに母に見せようとしました。

寝室の扉を開けると、

グォ~グォ~と大きないびきが・・・。

アオの世話がよほど疲れたようです。


次の日も、母は結果について

一向に尋ねませんでした。

私も何となくタイミングを計っていました。

かなり時間がたってから、

ついでのように母が結果を尋ねました。

「何とか受かったよ。」

と言うと、母は一瞬言葉を失っていました。



月曜日は友達に頼まれて、

ママさんサークルの

イベントに参加してきました。


他にリトミックや太鼓作りや

絵本の読み聞かせや

人形劇など、イベントたくさん。

私のおやこヨガもその一つ。


イベントの客という気持ちで、

アオと会場に到着すると、

中も外も、花と風船で豪華に飾られています。

しかも、大きなポスターが何枚も。

そこには大きく私の名前が。

どうやらメインはおやこヨガみたいです。

緊張してきました。


トイレで着替えて、

みんなの前にヨガマットを敷きながら、

呼吸を整えていると、

何とトラブルが・・・。

業務用のオーディオなので、

私のパソコンで編集したCDが

かからないのです。

そこで急きょ、スタッフの方が、

自宅から家庭用のコンポを運んでくれました。

ウォークマンも一応持っていったのですが、

とにかく、場所が広く人数が多いので、

ボリュームを最大にしても聞こえません。


ハンディマイクを装着して、

司会の人が私の紹介をしてくれた後、

いよいよスタートです。

今、自分が持っている精一杯の力で、

何とかやりきりました。

予定時間10分過ぎ。

でも、感動したのは初めてなのに、

小さな子供たちから、

幼稚園ぐらいの子供たちまで、

ちゃんと真似してくれています。

アオだけ走り回っています。

他の子は、信じられないぐらい

熱心に参加してくれました。

きっと楽しみにしていたのでしょう。


終わってからはスタッフの人たちが

すれ違う度にそれぞれ、

お礼を言ってくれました。

感想はどれも良いことばかりで、

恥ずかしいぐらいでしたが、

嬉しかったです。


お礼に高級お菓子をいただきました。

それから、友達からはお昼ご飯を

ごちそうになりました。

これがその日の出演料です。

アオもその日は本当に嬉しそうに

家に帰ってからも、ずっと歌っていました。





アオくん語録に

「くつまま~」

というのがあります。

これがいったい、どこから来て、

どうしてこうなったのか、

まったく不明です。


今日も11:00頃からず~っと、

「くつまま~!くつまま~!くつまま~!くつまま~!」

と叫んでいました。

意味のわからないパパは

何度も聞き返して、すっかり困惑。

私は見て見ぬフリをしていました。


・・・実はこの言葉の意味は、

私は知っていました。

いろいろな状況から察するに、

「お外に行く~!」

ということらしいのです。


でも掃除をしている最中で

面倒だったので放っておきました。

しばらくすると、アオはついに、

パパの手を引いて、玄関まで連れてきました。

私はちょっと驚きです。

(理解してもらおうと、努力しているんだ~。)


「お外に行きたいの?」

と、やっとパパはわかってくれました。

アオくん、ちょっと嬉しそうです。


でも、こうやって努力していくことは、

とても良いことだと思います。

今までの無気力な彼には、

まったく無かったものなので。