再投稿です。

 

私が24歳、3回目のインドで長期滞在していた頃の話です。

 

 

2000年6月。1か月間ボランティアの為に滞在していたカルカッタを一旦出ることにした。

 

 

3月に南部のハンピですごく仲良くなった二人がこれから北部を回るって言うから、

私もそれに合流することにしたのだった。

 

 

またカルカッタに戻ってくる予定だったから、

すぐに要らないものは泊まっていたセンターポイントゲストハウスに預かって貰うことにした。

 

 

「タダで預かってあげるよ。」とスタッフ。

 

 

一か月以上宿泊していたし、いつもドミのすぐ横に居たスタッフたちとはすっかり仲良くなって信用していたから、

何のためらいもなく段ボールに荷物を詰めてガムテープで止めて渡した。

 


7月末、カルカッタに戻って来て段ボールを開けてみると、私のじゃない地球の歩き方が3冊も入っていた。

 

 

ん??

と思って見てみると、ごっそり荷物の中身が抜かれていた!

 

 

と言っても、盗られたのはニューバランスのスニーカー、使い捨てカメラ、インド映画のサントラのカセットテープ、

日本製のトリートメント、制汗スプレー、日焼け止め、日本製のコンビーフの缶詰。

 

 

金額的には大したことないし、別にインドでも買えるものばかり。

 

 

でも、

人の物を盗るって根性が許せん!!ムキーッメラメラのだよ。


スタッフ全員に尋ねても、

 

 

「キミの思い違いじゃないのか?」

 

「こんなことは今までに一度もない。」

 

「24時間スタッフが見張ってるから盗られるなんてあり得ない。」

 

 

って知らん顔。

 

 

24時間スタッフが見てるなら盗ったのもスタッフ以外考えられないだろーー!!

 

 

しかも、屋根裏の倉庫に保管するって言ってたのに、めちゃくちゃ人目につく所に、ポン、って置いてあったし。

 

 

「箱にはガムテープが貼ってあったのか?」

 

 

と聞かれ、

 

 

「うん、私のテープと同じテープが貼ってあった。」

 

 

と言うと、

 

 

「じゃあ何で、どうやって中身がなくなるんだ?そんな話はおかしいじゃないか。」

 

 

あぁん???

 

 

「誰かが私の貼ったテープを剥がして中身を盗って同じテープを貼ったんでしょ!?どうやって私の荷物が勝手に消えんのよ!?」

 

 

私のスニーカーは勝手にトコトコ歩いて出て行くんかっちゅーの!!

あのコンビーフの缶詰、盗ったヒンドゥ教徒が間違って食べてしまえばいい!!ムキーッメラメラ

 

 

他の子に聞くと、
「ドミに怪しい客がいて、他にも盗られた人が居た。」と言う。



宿のオーナーに「警察に届けてくる」と言うと、

 


「警察に行かれたら自分たちが困るから盗られたと言わないで、なくしたと言ってくれ。

ベッド代安くするから警察行かないでくれ。」



アホか~~~!!ムキーッ

そんな訳にはいかない。

 

 

私が欲しいのは宿代のディスカウントではない。正義だ!!!物申す

そして保険請求の為の盗難レポートだ!!


と一人で警察にトコトコ歩いていった。


警察に着くと、でっぷりと太った警官が二人、どーーーーーーーーーーん。と座っていた。



「宿で荷物を盗られたんですけど・・・」
 

「まぁまぁ。座れ。お前その時計いいな。いくらで買った?」


「いやあの、そんな事より盗難届書いて欲しいんだけど。」


「お前もチャイ飲むか?」


「いや、チャイは要らないから盗難届けを・・・」


「まーまー。焦るな焦るな。」


取り合えずセンターポイントに電話を掛ける警官。


「その時計メイドインジャパンか?いくらだ?」
 

「・・・・・・・」



そんな調子で待たされる事2時間

その間警察を訪れたのは数人だけ。


警官は書類を書きながらボリボリおやつを食べ、態度だけはでかいが仕事はおっそい。

 


警官にお金を渡してぺこぺこと頭を下げる男。

それを堂々と受け取って内ポケットに入れるデブ警官。



両腕に縄をかけられて連れてこられた男。
うわ~。手錠じゃなくて縄なんだ?



そんなこんなするうちに、警察に呼び出されたセンターポイントのマネージャー二人が現れた。
25歳のディパックと、まだ17歳の少年。


二人は超偉そーーーーなデブの警官の所に連れて行かれて、ベンガル語で一方的にすごい剣幕で責め立てられていた。

 

 

「ねー、ベンガル語で喋ってるから何にもわからない。説明してくれる?」

 

 

って言っても、全然通訳してくれない。どうなってるんだろ?

 

 

と思っていたら、警官がやっと私の方を向いて、

 

 

 


「では、今から牢屋に入れる。」



イッ!???ポーンポーンポーン


盗難があった宿のマネージャーだからと言う理由だけで牢屋???

証拠もないのに???めちゃくちゃだ爆笑


私も自分が警察に行ったことで2人が牢屋に入れられるなんて思ってなかったから、焦ってしまった。

私は盗難証明さえ手に入れば良いのだ。



二人は今にも泣き出しそうな顔になって、


「お願いだ。このままじゃ僕ら牢屋に入れられちゃう。君から何とか頼んでくれないか。」

 

とすがってくるから、


「あのー、私保険会社に出す盗難届が手に入ればそれでいいし、別に犯人を探してくれとも言ってないし、
そもそも、この人たちのこと全然疑ってないし、解放してあげて下さい。」

 


と、警官に訴えた。


警官はそれと引き換えにワイロが欲しかったのか、しばらく

 

 

「いやダメだ、牢屋に入れる」

 

 

と言って聞かなかったけど、私は何度も一生懸命頼んで、とうとう解放してもらった。


すっかり暗くなった帰り道、三人でセンターポイントに歩いて戻る途中、
「ちょっと待ってて。」と二人は細い路地に入って行き、ごそごそと地面から何かを取り出した。


自分のペンダントや指輪、客から受け取った宿代のお札の束だった。

 


「警察に行ったら、こういうもの何もかも警官に盗られちゃうからね。

インドの警察はワイロばっかり貰ってて本当に良くないんだよ。だからインド人も小さなことでは滅多に警察に行かないよ。」


わかる!今日警察で二時間様子を見てただけですっごいよくわかった。


私は「ごめんね、迷惑かけて。恐かったでしょう?」と二人に謝り、次の日に二人にジュースをおごったりした。



が、


数年後。


そのセンターポイントの別の従業員にその時の話をすると、


「あー、盗ったのはディパックだよ。下に居た別の男と組んで、いつも客の物を盗んでは横流ししてたもん。」



なんだとぉぉぉ!?

 ムキーッムキーッムキーッムキーッムキーッムキーッムキーッムキーッムキーッムキーッムキーッムキーッ

 


ディパック、あいつだったのか!!

そんなことする人だなんて思わなかった!

すっごくいい人だと思ってたのに!!!
あのデブ警官の目は節穴ではなかったのか。


やっぱりあの時牢屋にぶち込んでやればよかった!!!物申す

 

 

と思ったのでした。

 

おしまい指差し

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