【追悼・与沢翼】

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昨年のまだ春の足音が聞こえ始め
たころ、我々の視界を飽和させる
かのように、それは現れた。

大量の黄色い広告である。

それまでは、ネットビジネスと言
う言葉さえ耳にしたことのなかっ
た多くの大衆に、「秒速で1億円
稼ぐ」というキーワードと共に、
圧倒的な力をもって訴えかけた。

普通の人々にとっては、経験すべ
くもないような挫折の連続と、ど
ん底から立ち上がってきた力とエ
ネルギーの塊として、そして、そ
れが我々にとって手が届くかもし
れないという幻想を与えてくれた。

多くの人々は、歓喜とともに迎え、
追従しようとした。

斯く言う私自身、セミナーを受け
に、また、自分自身でセミナーを
企画し毎週のように六本木まで通
っていた。

同じ思いを持った多くの仲間を得
られたことも、楽しいことであっ
た。

今回の、破綻報告はネットビジネ
ス・バブルの崩壊序章であろうか。

急激な成長に未熟な経営手腕が追
い付けなかったことは否めない。

また、税法を味方にできなかった
戦略的失策とも言える。

より重要なのは、彼が、情報とそ
の手法が販売可能であり、大企業
や高名なコンサルタントの独占的
所有物と思われていたものを、一
般庶民が扱うことが可能であるこ
とを教えてくれたことである。

詐欺・売り逃げなどと言われなが
らも、情報と手法が多くの人々に
とって販売価値があるものである
ことを教えてくれた功績は大きい。

もちろん、彼以前にもネットビジ
ネスを手掛ける人は多くいたが、
「普遍化」こそが彼の功績と言え
る。

もし彼がその影響力をよりしっか
りと認識し、長期戦略を組み込ん
でいたなら、ここで失速すること
なく、より発展した未来を描いて
いたのではないだろうか。

与沢翼Ver.3となって再起してく
ることを期待してやまない。

与沢翼公式ブログ「ご報告」に経緯が書かれています。
http://ameblo.jp/yozawa-blog/entry-11834514071.html

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写真は、「忘れ得ぬ人」
クラムスコイ、ロシア国立トレチャコフ美術館蔵
六本木黒崎ビル、FASの廊下に複製画が飾られていた
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