ランドセル仲介事業が想定超す反響 「とても買えなかった」喜びの声


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ランドセル仲介事業が想定超す反響 「とても買えなかった」喜びの声
福井県福井市に寄付されたランドセル。必要とする家庭に譲渡する=福井市役所別館2階の子ども福祉課
 使われなくなったランドセルを募り、必要としている家庭に贈る福井県福井市の「ランドセルもらってんで事業」が好評だ。昨年5月に募集、提供を始めて以降、3月1日までに54個を仲介。多くの子どもたちが喜んでおり、2019年度の事業継続、拡大が決まった。入学や転校のシーズンを前に、市子ども福祉課の担当者は「ランドセルが必要な方はぜひもらいに来て」と引き続き呼び掛けている。

 ■想定以上の集まり

 「ランドセルは高額で買うのが負担になっている」「みんなと違うかばんで学校に行きたくない」。こうした親子の声に応えようと昨年4月、家庭で眠っているランドセルを活用するアイデアを同課が考案した。事業費はかかっていない。

 色や形は問わず、6年間の使用に耐えられるという条件で、広報紙や市ホームページを通じて募集。想定を大幅に上回る数が市民から寄せられ、予定を繰り上げて7月に受け付けを終了した。担当者は「こんなに集まるのかと驚いた。ありがたいこと」と感謝する。

 ■原則1個を無償で

 ランドセルは、小学生または今春に小学校に入学する子がいる市内家庭を対象に、原則1個を無償提供。経済事情を理由に希望する家庭が大半で、譲り受けた親からは「一般的なランドセルは5万円くらいする。とても買えないと思っていたのでよかった」などと喜ばれたという。転校先のルールに対応するため必要とする家庭もあった。

 寄付されたランドセルは色の種類も豊富で、市役所別館2階の子ども福祉課を子連れで訪れる家庭も目立った。新入学を控えた子どもたちは、目を輝かせながらお気に入りを選び、背負ったままうれしそうに持ち帰る姿もあったという。

 ■「もったいない」

 多くのランドセルを仲介できた一方、全体的に状態が良好であるにもかかわらず提供できないと判断したケースがあった。錠前が壊れている、表面に引っかいたような傷がある、内側が汚れているなど、一部に限った破損や傷みが理由だ。

 市子ども福祉課はこの状況を「もったいない」と考え、19年度はランドセルを修繕するための寄付を募ることにした。新年度予算案に寄付金を財源とした子どもの生活応援事業(31万円)を盛り込み、想定額の浄財が寄せられれば約30個に対応できるという。

 ランドセルの募集も再開を予定しているが、児童が快適に利用できるよう考慮。▽A4判のファイルが入る現在主流のサイズ▽今春に小学校を卒業する児童が使っていたもの-などと限定して受け付ける方針だ。