ほくとの気ままなブログ

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甘い旋律に誘われて覗いた先は、

狂気の底だった。

 

 

映画「ブルーベルベット」

 

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1986年/アメリカ/121分

 

<監督>

デヴィッド・リンチ

 

■ 作品概要

平凡な青年が、ある出来事をきっかけに悪夢のような世界へと引きずり込まれていく。
鬼才デヴィッド・リンチが描くエロスとバイオレンス、そしてフェティッシュな映像美が融合したサスペンス作品です。

 

のどかな田舎町の裏に潜む“もうひとつの顔”を描いた本作は、観る者に強烈な印象を残します。

 

■ 主なキャスト

●ジェフリー・ボーモント(演:カイル・マクラクラン


大学生の青年。父の急病で故郷ランバートンに戻り、偶然発見した“切断された耳”をきっかけに、事件の真相を追い始めます。好奇心の強さゆえに、危険な世界へと足を踏み入れていきます。

 

●ドロシー・ヴァレンズ(演:イザベラ・ロッセリーニ


“ブルー・レディー”と呼ばれる歌手。妖艶でどこか壊れた雰囲気を持ち、物語の鍵を握る存在。悲劇的な状況の中で生きる彼女の姿は強烈です。

 

●フランク・ブース(演:デニス・ホッパー


暴力的かつ狂気に満ちた男。感情の起伏が激しく、支配的で危険な存在。今作の“異様さ”を象徴するキャラクターです。

 

●ベン(演:ディーン・ストックウェル


フランクの仲間で、自称“粋なオカマ”どこか異様な空気をまとった人物。太った人間ばかりが集まる自宅には、ドロシーの息子ドニーが監禁されている。 彼の登場シーンは短いながらも非常に印象的です。

 

●サンディ・ウィリアムズ(演:ローラ・ダーン


純粋で明るい高校生。ジェフリーに協力しながらも、彼とは対照的に“光”の象徴のような存在です。

 

■ 内容


急病で倒れた父の見舞いのため、のどかな田舎町ランバートンに帰ってきた大学生のジェフリーは、病院からの帰り道、草むらで切断された人間の片耳を拾う。

 

 

父の友人であるウィリアムズ刑事に知らせると、この件に深入りしないよう忠告されるが、刑事の娘サンディから、キャバレーの女性歌手ドロシーが関わっているらしいと聞かされる。

 

 

異様な体験に強く魅了されたジェフリーは、真相の手がかりを求めてドロシーの留守宅に忍び込み、やがて犯罪と暴力、倒錯した愛欲が渦巻くアブノーマルな夜の世界へと迷い込んでいく。

 

(映画.com)

 

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■ 音楽から入った“先入観”

実はこの作品、同じタイトルの“曲”を先に知っていました

1951年トニー・ベネットがヒットさせ、さらに1963年にはボビー・ヴィントンによるバージョンも大ヒットした曲です。

大昔ほくと少年はラジオ番組『ジェットストリーム』などで聴いていたのです。

 

 

ちょっと脱線して、城達也さんのあのナレーションの記憶

遠い地平線が消えて、深々とした夜の闇に心を休めるとき、
あの静かで美しい語りは、今でも鮮明に思い出されます。
とりわけ次のフレーズは、特に印象に残っています。

 

「夜のしじまの、なんと饒舌なことでしょう」

 

その幻想的でロマンチックな世界観とともに、この曲は“甘く切ない思い出の象徴”として私の中に刻まれています。

 

元へ、話を戻しましょう。

 

■ そして映画を観てみると…

ある時、TVで同じタイトルの映画作品が放送されて、そして挿入歌も同じだったのです。

そのイメージのまま作品を観た結果、

「なんじゃこれは…!」

思わずそう口にしてしまうほどの衝撃を受けた記憶が、昨日のことのように蘇ります。

 

 

甘くノスタルジックな楽曲から想像していた世界とは、まったくの別物。

 


そこにあったのは、

暴力、

狂気、

エロス、

 

 

そして倒錯した欲望が渦巻く異様な世界でした。

まさに“デヴィッド・リンチらしさ全開”の作品だったのです。

 

■ 再鑑賞してみて

月日が経ち、配信で再び鑑賞。

犯人捜しをサスペンスタッチで進行する物語。細かい部分を忘れていたこともあり、新鮮な気持ちで観ることができました。
改めて観ても、やはりこの作品のインパクトは強烈でした。

 

■ キャラクターの強烈さ

とにかく登場人物たちが濃いのです。

キャストのところでも紹介していますがもう少し詳しくご紹介!

 

・ドロシーを演じたイザベラ・ロッセリーニ

あのイングリッド・バーグマンの娘。
その母親譲りの気品を感じさせながらも、体当たりの演技は圧巻でした。

 

 

すごいです。そして彼女が歌う、ブルーベルベットはまた違った哀愁を感じるのです。

 

 

 

・デニス・ホッパーが演じるフランク
これがまた強烈なのです。

暴力的で短気な男。麻薬や亜硝酸アミルで性的興奮を高め、ベルベットに執着。

 

 

ドロシーの歌に純粋な一面を見せる方・・・。この狂気じみた存在感は、一度観たら忘れられません。

怒ったかと思えば一転して…(この先はぜひ本編で)ここは重要なシーンになりますのでふせておきます(笑)とにかく必見。

 

 

・さらにディーン・ストックウェル演じるベンのシーン。
自称“粋なオカマ”と呼ばれている独特のキャラ、あのフランクなどが集まった自宅で歌を歌うシーンは、もう完全にいかれてしまうほど不気味なシーンでした。

 

 

デニス・ホッパー演じるフランクに負けず劣らず凄まじいキャラでした。

まさにリンチ作品の真骨頂と言えるでしょう。

 

↓必見のシーン)^^;

 

■ ほくと的まとめ

甘く切ない名曲のイメージからは、まったく想像できない世界。

あの名曲を知る人ほど、その世界観とのギャップに強烈な衝撃を受けるはずです。

 

 

ストーリーの詳細はあえて語りませんが、
独特でクセのある世界観は、一度体験する価値ありです。

 

 

まさに 高橋成美さん風にいえば、

すごい、

すごい、

すごい、

すごい、

すごい・・

の連続。

 


曲からは想像もつかない、強烈な世界観にただただ圧倒されるはず。

狂気と美しさが同居する世界観を味わいたい人には、間違いなく刺さる一本です。

観るか観ないかはあなた次第です!

 

評価:5点満点中3.9

(画像すべてお借りしました)

 

 

麺食い街道73

 

競馬中継が流れる日ノ出町の町中華で、どろっとしたカレー餡が絡む一杯に再会してきました。

 

「中華料理萬福」
カレー焼きそば800円 

皿わんたん500円

 

 

以前に何回か紹介しているこの店舗のカレー焼きそば。無性に食べたくなったので2/21訪問。途中、以前あった場所を通ってみると、建物はまだ残っていました。

 

 

更地にしていなかったのですね。

 

(↑在りし日の萬福)

さてお店では、場所柄(笑)、TVでは競馬中継が流れています。なんたって場外馬券場も近く、日ノ出町~野毛エリアですから、何をか言わんやですね。

 

(都橋ハーモニカ横丁)

店内は3組ほどのお客さん。お目当てのカレー焼きそばを注文し、昔、酒のおつまみ感覚で食べたことがある皿ワンタンも頼みたくなりましたが、壁一面に書かれているメニューに見当たらない。
「皿ワンタン、ありませんでしたっけ?」
「あぁ、ありますよ」

とのことで、それも注文。

 

 

しばらくしてそれぞれ着丼。

まずは皿ワンタン。

ワンタンに酢醤油と刻みネギがかかったシンプルな一品。

皮が薄く、つるっとした食感で何個でもいけそうです。

食事の後に用事もあったので、この日は昼間ということもありビールは控えました(飲めないわけではないのですが、すぐ顔が真っ赤になってしまうので)。ですが、間違いなくお酒に合う一品です。

周りのお客さんは当然のようにアルコールを注文していました。これ場所柄か?(笑)

 

 

そしてメインのカレー焼きそばが着丼。

いざ実食からの、旨街道~!

 

 

これです。カレー専門店のカレーとは違います。

けっして上品ではない(笑)萬福の名物カレー焼きそばは、片栗粉で軽くとろみをつけたカレー餡が、やわらかい中華麺にしっかり絡む昔ながらの町中華スタイル。

 

スパイスの香りと“どろっと感”が絶妙で、一度食べると忘れられない味です。

 

見た目は正直あまり映えないかもしれませんが(笑)、辛すぎず、ご飯のお供にも酒のつまみにもなる万能な一品。

おいしかったですね。

 

評価:5点満点中4.1

 

 

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「つけめん玉」ゆめが丘ソラトス店
つけ麺1100円

 

 

3/7、映画の前に麺食い

ここも何度か紹介しているお店です。ゆめが丘ソラトス店はフードコートの中にあります。

開店と同時に入り、並んで食べました。

 

 

 

フードコートなので自分で運んでセルフ着丼(笑)。

ドロ系のスープに太麺をくぐらせて、いざ実食。

 

旨街道~!

 

 

豚骨・鶏ガラなどの動物系に、大量の魚介を合わせたとろみのある濃厚スープが、小麦の香りを強く感じるモチモチ・ツルツルの太麺にしっかり絡みます。

これはおいしい。

フードコートでこのレベルは正直素晴らしいですね。

こちらもリピートありのお店です。

 

評価:5点満点中4.1

 

 

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「バーミヤン」新杉田店
担仔麺(タンツーメン)879円

 

 

3/14、地元のバーミヤンで食事。

少し時間がずれてしまったので、「どこでもいいから」と訪問。タブレットで注文です。

店内は家族連れなどで、けっこう賑わっていました。

 

さて何を食べようか迷っていたところ、メニューのトップに担仔麺(タンツーメン)なるものが。
「台湾の屋台料理を再現した“あっさり塩味スープ×甘辛ひき肉×海老”が特徴」とのこと。

まずは食べてみないとわかりませんので初チャレンジ。

 

 

しばらくして着丼。

見た目は黄金色の澄んだスープで、やさしい印象です。

まずはスープを……旨街道!

 

 

鶏や魚介の旨味がベースで、塩味ながら角がなく、まろやかで飲みやすいスープ。

これはおいしい。

そして麺は細めのストレート麺。個人的にはもう少し中太寄りのほうが好みですが、全体としてはまとまっています。

 

突出したクセはなく、大きなくくりで言えば、野菜少なめのタンメンに近い印象でしょうか。

万人向けで安心して食べられる一杯でした。

 

評価:5点満点中3.7

 

 

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甲殻類ラーメン専門店 ムメヰ」
ラーメン900円/和え玉400円

 


映画の前に麺食い 

3/21上大岡にあるムメヰさんに初訪問。
このお店、まったく知りませんでした。

たまたま上大岡のスマホショップを予約していて、場所をマップで確認していたところ、なんと近くに見知らぬラーメン店を発見。しかも興味を引くメニューということで、そのまま初訪問です。

 

お昼時は過ぎていましたが、8席ほどのこぢんまりとした店内にはお客さんの姿。なんとラッキーなことに1席だけ空いていました。

 

このお店の基本はラーメン。

ただし選び方が独特で、自分でカスタムするスタイル伝票に印をつけて店員さんへ渡すオーダー方式です。

 

 

組み合わせは以下の通り。

  • メイン:カニ or エビ
  • スープ:豚骨 or 鯛
  • 麺:細麺 or 平打ち麺

この組み合わせで8通り以上のラーメンが楽しめます。

 

 

さて悩んだ末に、

  • メイン:カニ
  • スープ:鯛
  • 麺:平打ち麺


さらに和え玉はオマール海老味噌(細麺)でオーダー

 

ワンオペで忙しそうながらも、感じの良い接客です。

 

 

しばらくして着丼。

 


まずはスープを一口。

旨街道~!!

 

カニの旨みがしっかり感じられる美味しいスープ。豚骨にしなかったのは正解だったかも。鯛の風味は思ったより控えめでしたが、全体としてまとまりのある味わいです。

 

 

麺は平打ち麺。見た目はラーメンというよりも、どちらかというとパスタのフェットチーネを思わせる幅広のストレート麺です。

もちもちとした弾力があり、口に入れるとしっかりとした食感を楽しめます。

 

ただ私的には若干硬めに感じたので、どちらかというと柔らかめが好みのほくととしては、もう少し茹でていただいたほうがより好みかも(笑)

 

 

ラーメンが少なくなってきたタイミングで

「和え玉お願いします」

と注文。ほどなくして到着。

 

 

おぉ~期待を裏切らないビジュアル。

いざ実食。


旨街道~~!!

 

これは細麺で正解。

 

 

海老の甘みと香ばしさがしっかり感じられます。途中でラーメンのスープにくぐらせて、味変しながら楽しめるのも良いですね。

 

 

店員さんに

「おいしいですね。全く知らなくて損していました」

と軽くお話ししつつお会計。

 

支払い方法はいろいろ対応しているようですが、今回はいつもの現金ニコニコ払い。

「また来ます~」

と伝えて退店。

混ぜそばもあるようですし、リピート確定。

上大岡にまた楽しみなお店が増えました。

 

評価:5点満点中 4.0

静かに沁みる母の愛と喪失と家族の物語

映画「ハムネット」

 


2025年/126分/イギリス
<監督>

クロエ・ジャオ

<原作>

マギー・オファーレル『ハムネット』


<キャスト>

ジェシー・バックリー、

ポール・メスカル、

エミリー・ワトソン、

ジョー・アルウィン

 

「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督がシェイクスピアの名作「ハムレット」誕生の裏側にある“家族の物語”を静かに描いた作品です。

 

4月11日、TOHOシネマズ上大岡にて鑑賞。

ちょうど今月で失効してしまうU-NEXTのポイントがあったため、それを映画館で使えるチケットに交換し、劇場へ劇場へ向かいました。

正直に言うと、鑑賞前の期待はそれほど高くありませんでした。
「シェイクスピアの息子の死が『ハムレット』につながった」

という話をなぞる作品だろう、という程度の認識でした。

 

 

けれど──


後半からラストにかけて、胸の奥がじんわりと熱くなり、気づけば涙が頬を伝いウルウルとしてしまいました。

 

派手さはないのに、確実に心に残る。
いまのところ今年観た作品の中でも、上位に入る一本ではなかったかと思えるほどでした。

やっぱり何事も観て経験してみないとですね(笑)。

上映中ですので、極力ネタバレを少なくして書きたいと思います。

 

■内容

「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督が、シェイクスピアの名作戯曲「ハムレット」の誕生の背景にあった悲劇と愛の物語を、フィクションを交えながら描いたドラマ。

 

北アイルランドの作家マギー・オファーレルが2020年に発表し、英女性小説賞と全米批評家協会賞を受賞した同名小説を映画化した。


16世紀イングランドの小さな村。薬草の知識を持ち不思議な力を宿したアグネス・シェイクスピアは、作家としてロンドンで活動する夫ウィリアムが不在のため、3人の子どもたちと暮らしている。

ペスト禍のなかで子どもたちを守り奮闘するアグネスだったが、不運にも11歳の息子ハムネットが命を落とし家族は深い悲しみに包まれる。

 

(映画.com)

 

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■時代背景 “ハムネット”と“ハムレット”名前がつなぐもの

この映画の核にあるのは、「名前」です。

ハムネットハムレット

 

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この2つの名前は、16世紀当時ほとんど同じように扱われていました。

だからこそ、
息子の死と、あの戯曲の誕生がどこかでつながっているのではないか?そんな想像が生まれます。実際そこで何か戸惑いを感じる人も多いかと思います。

 

本作は、そのわずかな“名前の揺れ”を手がかりに、喪失がどのように創作へと変わっていくのかを、静かに見つめていくような内容でした。

 

 

■「森の魔女の娘」と呼ばれたアグネス

物語の中心は、妻アグネス。

彼女は村で「森の魔女の娘」と噂される存在です。

 


薬草を扱い、自然の気配を感じ取りながら生きる女性。

鷹が空を舞い、彼女は森の中で静かに手を動かす。その姿はどこか神秘的で、静かな生活の中に溶け込んでいきます。

 

 

 

そんな彼女に家庭教師をして、家族の借金を返済していたウィリアム・シェイクスピアが心を通じ合わせていきます。

 

監督が描く自然と人間が切り離されない世界観が印象的で、映像そのものの美しさにも強く引き込まれました。

 

■ 双子の誕生、静かに置かれる“伏線”

やがてアグネスは双子を出産します。

一方の命(ハムネット)はすぐにこの世界に根を下ろし、
もう一方(ジュディス)は、生死をさまよいながらも、アグネスの賢明な祈りの結果、少し遅れてこの世界へと引き戻されます。

 

 

この誕生のシーンはとても静かですが、
後に訪れる出来事を思うと、強く胸に残る場面でした。

 

■ 喪失へ向かう中での“ある選択”

やがて大流行したペストが家族を襲います

 

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そのなかで描かれる、ハムネットが行った、ある選択”
それは誰かを思うがゆえの、とても静かで切ない行動です。

前半の何気ないやり取りが、ここで思いがけない形で重なり、
胸の奥にじわりと痛みを残します。

 

 

語りすぎない方がいい場面ですが、

彼の一つ一つの行動は、父との約束を思えばこそなのですが、見ているこちらは思わず手を伸ばして止めたくなるようなものでした。

そしてウルウルしたのは、いうまでもありません。

 

ここから母親の喪失感、そして家を空けていた夫であり子供の父親への非難があふれてきます。

 

 

■ ラスト“生きるべきか、死ぬべきか”の重み

物語はやがて、あの有名な「ハムレット」の初演へとつながっていきます。

 

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「To be, or not to be」


誰もが知るこの言葉も登場しますが、本作で胸に残るのは、その台詞そのものではありません。

そこに込められた、
父としての喪失と、創作へと変わっていく痛みでした。

 

 

舞台上の俳優が言葉を発しようとした、その時。
観客が一斉に手を差し伸べる――

「あぁ~こういうことだったのか!」

と、思わず心の中で叫んでしまいました。

 

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ポスターにも使われていたあの場面が、
物語の流れの中で見ることで、まったく違う意味を帯びて迫ってきます。

 

 

静かだけれど確かに心を揺さぶる。

舞台の演技に集中するアグネスと、観客たちの姿が重なっていく。

その瞬間、作品への感動が胸に広がる。

 

その流れの中で印象に残ったのが、アグネスを演じるジェシー・バックリーの表情の変化でした。
ほとんど言葉はないのに、そのわずかな揺らぎだけで、彼女の心の移ろいが伝わってきます。

 

そのラストシーンは、この物語の中で唯一、感情が一気にせり上がる場面です。 

あの瞬間、喪失の痛みが静かに救いへと変わっていくように感じました。

この高まりを、ぜひ劇場で体験していただきたいですね。

 

 

■ 母の愛と、言葉にならない悲しみ

この映画は、アグネスを中心に描かれた喪失と家族の物語ではないかと思います。

 

 

子どもを失った母の悲しみ。

 

それを演じたジェシー・バックリーの演技は、本当に見事でした。アカデミー賞主演女優賞を受賞しただけのことはある説得力でした。
 

 

激しく感情をぶつける瞬間もありながら、
その根底には常に、沈黙の中で抱え続ける想いがありました。
その沈黙が、かえって深く胸に沁みてきます。

 

 

そして同時に、
この作品全体には、クロエ・ジャオ監督らしい「自然」のまなざしが静かに息づいています。
風の気配、

森の静けさ、

光の移ろい
人間の感情を、自然の呼吸と同じリズムで描いているような感覚がありました。

 

夫であるウィリアム・シェイクスピアもまた、
その悲しみを抱えながら、言葉へと変えていったのだと感じさせます。

 

■ほくと的まとめ

映画「ハムネット」は、喪失と家族の愛を、静かに描ききった作品です。


大きな出来事だけで感情を揺さぶるタイプの映画ではありません。

それでもこの作品が残すものは、物語の“出来事”ではなく、その後に続いていく“感情の余韻”そのものだと感じました。

 

 

喪失は、終わるのではなく形を変えて残り続ける。

そうした時間の流れを、言葉ではなく空気のように描いた作品だったと思います。

 

ウィリアム・シェイクスピアと、その妻アン・ハサウェイについては、いまも人物像の評価が分かれ、残された記録も多くはありません。
だからこそ本作のような視点は、より新鮮に思えました。

 

そして特に印象に残ったのは、二つの場面です。

ペストの影が家族に迫る中での、ハムネットの静かな選択
そして舞台『ハムレット』のクライマックス

どちらも異なる場面でありながら強く心に残りました。

 

思いがけず、ただのポイント消化では終わらないほど心に残る作品になりました(笑)。

 

評価:5点満点中 4.0