ナイフを貰いました | 北欧ナイフでお気軽アウトドア

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北欧のナイフの話題や、それらを使った気軽なアウトドア、ブッシュクラフトについて書いていきます。

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さて、知り合いのおばちゃんからナイフを頂いてしまいました。

 

 

「あんた好きでしょ!? 青錆びとかあるけどあげるよ!」

 

 

と、豪快に言われ頂いてしまったものです。

どうやら、そのおばちゃんが昔集めていたものの一部だそうですが……。

 

 

全部で4本。

上から「謎の日本製スキナー」「カミラスのマリンナイフ」「プーマのナイフ」「バックの501」となっています。

どれもこれも、30年以上前のものばかり。

 

 

ええ、今現在手に入るものもあるんですよ。

たとえば、バックの501とか。

 

 

 

カミラスのナイフも一昔前、よく目にしたものです。

けれども、さすがに30年以上前の品、作りが全然違っています。

 

 

今、バックの501のリンクを貼ってみたんですが、現行のそれと頂いたそれとではまるで違う。

まず、ハンドルの素材がウッドではなく、頂いたものはキャンバスマイカルタ。

ロックバックの形状も違いますし、よくよく見るとブレードのグラインドも違うんです。

 

 

現行のそれはシンプルなホローグラインドで削られたもので、当然使いやすいナイフではあるんですが、頂いたそれは、

 

 

こんな感じのグラインド。

ブレードの真ん中あたりをホローしてあるんですが、エッジに近いところでは、またふくらみがあるという。

またブレードに刻まれた「BUCK」の刻印も違いますね。

 

 

一方、「現行のもののほうがいい」という点も。

今、この501スクワイアを買うと、ケースがついてきます。

が、頂いたスクワイアは箱入りなんですが、どう考えてもケースがついていないと思われるんです。

 

 

ナイフをおさめるだけでいっぱいになる小さな箱に入っていまして、ケース付きで箱に入っていたとはちょっと考えにくい。

昔はケースがなかった、ということなんでしょうかね。

 

 

ともあれ、このバック501は程度が凄くよかったので、お掃除をして刃付けをしてやりました。

556をノズルを使い、ブシャーっとかけて汚れを洗い流します。使用感は全然なかったのですが、内部には緑青が生じていたりしましたので、それらを綺麗にしてスムーズなオープン/クローズが出来るようにしました。

 

 

細かいところは、竹ひごや割りばしを削ったものを使いこそげ落とします。

その後、よく556を洗い流し、可動部分に刃物用の油を差して完成。エッジがあまり立っていなかったので(けど、未使用と思われるコンディションでした)、ダイヤ砥石で撫でるようにして刃をつけ、仕上げはセラミックの砥石を使いました。

 

 

どちらも平面がしっかり出ているものなんですが、エッジに当たらない部分がありました。

多分、製造時の歪みというか、個体差というか、そういう部分です。けど、そこは神経質になってもしょうがないので、「使っていくうちに全体にエッジが付くようになるだろう」と、ゆるやかに。

 

 

キチンと研げている部分は、切れ味いいですよ。

多分、鋼材も現行のそれとは違うでしょうねぇ。440Cとかかなぁ。

 

 

さて、プーマのナイフですが、これは昔からよく知られているものです。

私も昔「世界と日本のナイフカタログ」なんて本で見た記憶があります。

 

 

ドイツのナイフは硬度が抑え気味になっており、柔らかく研ぎやすい、なんて前知識もありました。

で、プーマのナイフの特徴の一つ「ロックウェル硬さ試験を行った痕跡」がちゃんとあります。

 

 

写真では見づらいですが、ちょこんとブレードに小さな凹みがあるんです。

ダイヤモンド片を押し付けてその深さで、硬さを測る試験ですが、製品のクオリティを証明するため、こうやってブレードに「ちゃんと検査してますよ!」というのを示してある、というわけです。

 

 

柔らかいブレードなのはわかるのですが、キチンとした刃がこれもついていませんでした。

つまり、箱出しでは使えない! 一度綺麗に研いであげる必要がありそうです。

 

 

カミラスのマリーンナイフは、刃が付いているとかそういうレベルではない。

ザックリと仕上げられたナイフ! という感じ。

 

 

シープフットのブレード形状は思っている以上に汎用性・メンテナンス性が高いはずなので、いずれしっかりとこれもリペアしてあげたいですね。ただ、重くてかなりゴツい。

スパイクが付いていますが、これはロックが掛かるみたい。

 

 

さてさて。

一番の珍品は、出どころ不明のスキナー。

「特製 本割込」なんて刻印が刻まれていることから、国産品であることが容易に見てとれます。

 

 

んが。

割り込みであるはずにも関わらず、鍛接線が見えない……!

また、ハンドルは包丁のハンドルのようで、鋼材とハンドル材の間に隙間が空きまくり(で、錆びも結構ある)。ヘンテコな付け方がされた真鍮のヒルト、さらにペラペラの革シース、と本当に謎の一品。

 

 

ただ、このスキナー、砥石を当てた「研ぎ傷」があったので、実使用されたものでしょうね。

ちなみに刃はハマグリ刃になってます。

 

 

ちょっと刃の黒幕#1000で研いでみると……。

 

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