少し治まってきたような気もしていたけれど
 
「おとうさん、全然眠れんげ。。。。」
「おとうさん、頑張ってご飯食べとる。。。。」
「魚も食べられるようになったよ。。。。」
 
歯も痛い・・・・・背中も可笑しい・・・
一月の終わり頃から殆ど寝ているから足も手の筋力も衰えて。。。。。
そして、同じ言葉を繰り返して。。。。
 
「おとうさん、眠れんし先生に伝えて。。。。」
 
あの透析の時、妻の体重に驚いて、
そして今は其の時より軽くなったみたい気もする。
片手で持ち上げられるかもしれないとも思う。
 
妻は数日眠れないというけれど看護婦に聞くとゆっくり眠っていると言う。
多分熟睡ができないで、眠れないと愚痴るのかも。。。。。
 
今日、病棟の床に一人の老婆が倒れていた。
看護婦も誰も起こしも何もしない。
「お客さんが来ているから起きて。。。。」
別に私は客でも何でもないけれど、
自分で歩けないから倒れているんだろう。。。。。
 
 
毎日病棟へ通うから看護師たちが妻には気を使うのかもしれない。
もし顔を見に行かなかったらそんな老婆と同じ対応をされているのかもしれない。
 
 
誰も好き好んで精神を止むのではない。
いろんな事が積み重なって
、徐々に身体も精神も壊れていくのかと思う。
 
妻も砂浜や山道、坂道を何十年と歩き続けて
気がついたらその道は行き止まり。。。。。
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こんな大きな鉄柵を超えることはできない。。。。
右も左も道の側は広い海。
 
こんな鉄柵を乗り越えてもその先はまた行き止まり。。。。
 
 
こんな防波堤の鉄柵を見ると妻もこんな大きな柵の前で迷っているのだろう。。。。
 
乗り越えてもずっとその先は海。
両脇も海。
どうすればいいのか分からない。。。。。
 
 
 
そう、昔、子供に教えたように歩いてきた道を戻ればいいのに。。。。
それが分からない。
 
昨日も今日もこんな柵の前で苦しんでいるのだろうと思う。
 
 
「おかあさん、頑張らんなんよ」
 
「うん、頑張ってるよ」
 
「それじゃ帰るね、バイバイ・・・」
手を振るとベッドの上で両手を振っている。
 
「おかあさん、それじゃバイバイにならんよ、片手で振らんと・・・・」
慌てて左手を振る妻が居る。
 
こんな時たまらなく愛おしくなってしまう。
 
行き止まりの柵の前から早く連れ帰さないと。。。。