早朝は寒かったけれど
日中は晩秋には珍しい風も無く暖かな日曜日。
何時も近所を走るだけでお茶を濁してきたけれど今
日は少し足を延ばしての母とのドライブ。
天気も何時急変するか分からないから母にはしっかりと冬の格好をさせて、
紙パンツも一枚持って、長靴を履いて、私は素足にツッカケスタイル。
「お前も長靴を履いたら・・・」
「長靴無いもん・・・」
相も変わらぬ憎まれ口を叩いて・・・
「気持ち好いねぇ」
母はすっかり喜んでいる。
本当は母は漁師町の育ちだから海岸がいいのだろうけれど
海辺では風を遮るものも無い。
だから山道を走ってみる。
細い山道は上から落ち葉が舞っていたり、路面は落葉ばかり・・・
「何処行くのだった?」
「あんまり寂しい処は行かないでおこうよ」
「分かったよ・・・」
道端でドングリを拾って・・・・暫く
道脇に小さな車が停まって・・・その先を見るとオジサンが傘を逆さまにしている。
「何してるのかねぇ」
「きっとヌカゴ取ってると思う・・・」
「取れますかぁ・・・」
「少しね、良かったら持って行く?」
「せっかくだからいいですよ」
と云いながら三粒頂いて齧ってみる。
「ばあちゃんも齧ってみる?」
「懐かしいねぇ、昔、お父ちゃんが良く山芋掘りに行ってね」
「儂も行ったけれど採れんかったぞ」
「そりゃお前、お前がせっかちだからだよ」

こんな季節、親父は良く休み毎にシャベルの様な山芋掘りの道具と
ササやヤブを切り開くのにカマとを背負って行っていました。
多い日は十本くらい、それをリンゴ箱に土と一緒に埋め込んで
時々は擦り下ろして出汁を混ぜてとろろ汁にしたり、小さな欠片は甘辛く煮てみたり・・・
親父が亡くなってから貰った山芋掘りの道具、
数年に一度は持って出かけることがあるけれどまともなモノは一本も掘れません。
せいぜいで親指くらいの細さ・・・
これから霜が降りると山芋のツルは節で切れてしまって見つけにくくなるように聞きました。
何となく親父の事を思い出しながら、母と走ってきた二時間のドライブ。
あんなに喜んでいたのに家へ帰ると
「私疲れたから少し寝る・・・」
着ていった洋服もそのままでベッドに入ってしまった。
気づかぬ間に少しずつ体力の落ちている母。
そして私は拾って来たドングリ十二個を植木鉢に埋めて・・・
来春には可愛い新芽が出て来てくれるかと思っています。