最近良く妻と銭湯に出かけます。
百円で入れる入浴券が二十枚ほど手に入りました。
たかが銭湯・・・パジャマを着てサンダル履いて・・・・
百円で入れるのであがったら妻はコーヒー牛乳、私はラムネ。
それでも一人二百二十円、
まともに入浴するより未だ二百円も安いし妻は喜んでいきます。
「ゆっくり入っておいで・・・」そう云っても、
私が四つの湯船にあれこれ浸かって出ると
妻はもう待合室で足マッサージの機械を・・・・
大分妻の病気も落ち着いています。
そして風呂道具の入ったバスケットを其々下げて・・・・。
腰というより背中が曲がってきた妻が階段の処で手を繋ぎにきます。
新婚時代の昔こんな事が有ったなぁ・・・東京の亀戸のアパート。
下町の陽の殆どささない八畳一間。
銭湯に行って手を繋いで帰って来て・・・・歌の『神田川』の世界みたいです。
♪一緒に出ようねって言ったのに、
何時も私が待たされた、
洗い髪が芯まで冷えて・・・・
だからこの歌を聴くとあの所帯を持った頃が思い出されます。
そう、古いふるい、遠い昔のこと・・・・
小さな胸が今ではすっかり無くなって・・・・
でも妻。
そんな胸があろうとなかろうと、腰が、背中が曲がっていようと・・・
手を繋ぎにくる妻は大事にしなくてはいけません。
そして薬を飲んで寝ている妻は静かに寝息をたてています。
こんな筈で無かったとか、
いろんな事が頭をよぎることも有りますがそれはそれ。
誰も予測も出来ないし妻の身体のことも病気のことも妻に責任はありません。
繋ぎにくる手をしっかりと握り直し・・・
頭の中では遠い新婚時代を思い出しながらの銭湯の帰り。
冬の寒い季節は家庭の風呂より銭湯の方が身体も暖まるし、
待合室でコーヒー牛乳やラムネも飲めるし・・・
妻と手を繋いで出てこれるし・・・・
それはそれで、ささやかで小さな幸せなのかもしれません。