何時の間にか
夜明けの頃、肌寒さで目を覚まして、夏布団を被りなおしもうひと眠り・・・・
寝付きは良いけどそんな肌寒さで寝起きが悪くて
段々朝は布団から出たくない季節がやってきます。
 
 
そんな日の午後、ボーと事務所に座って
『彼岸花も咲きだしたかな~』なんて思っていると見なれた姿・・・・
 
君麻呂の様な歩き方をして・・・・母が杖を付いて事務所のドアーを開いて・・・
 
 
「ばあちゃん、どうしたの?独りで歩いて来たの?」
 
「お天気が良いから、遊びに来た・・・」
 
うーん、分かるけれどなぁ。
 
「ばあちゃん、儂、事務所に何時も座っとらんよ、居なかったらどうするん?」
 
「誰かに送ってもらうよ・・・・」
 
手には半分萎れかかったコスモスの花が二本。
確か、コスモスは水揚げがあんまり良くない筈・・・
「コスモス、持って来てくれたんか」一応洗面所で水切りして・・・・
 
 
「ばあちゃん、疲れたやろ・・・」
 
「そんな、疲れとらんよ・・・・お天気だし・・・」
 
家で独りいるより良いのかもしれない。
でも家からは約二キロ。
母の足では小一時間は掛かるだろうに・・・・。
 
頼りない息子を見に来たのか・・・
揺れるコスモスを見て息子に届けようと思ったのか、
幾つかの信号を越えて頑張って歩いて来た母がいる。
 
事務員が慌てて椅子を用意して、お茶の用意をする。
テーブルの上の書類をあっち触ったり、こっちに積んでみたり・・・・
そして
 
「顔を見たら安心したし、帰るわ」
 
「ばあちゃん、送るから一寸待つっとって、今、片付けるし・・・」
 
先ほどまで彼岸花のことなんかボンヤリ考えていたのに、
さも仕事をしていたような顔をして自分の机に向かう私。
 
 
コスモスの花、秋桜と云うし、花自体は綺麗で可憐だけど、
そんな花に似合わないと思うコスモスの茎。
下の方の葉っぱは枯れて茶色に変色して・・・
 
でも花は可憐・・・・秋の花・・・・
 
♪ 『・・・・・・私の幼い日の思い出を
 
何度も同じ話繰り返す
 
独りごと見たいに小さな声で・・・
 
こんな小春日和の穏やかな日は
 
貴女の優しさがしみてくる・・・・』 
 
 
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机に置かれた
そんなコスモスが少し元気に頭を持ち上げて来た。
 
「ばあちゃん、今度から電話して来んと駄目やぞ・・・・
何処へ行ったか分からんのになるし・・」
 
分かったのかどうか頷いている。
 
 
やっぱり夕方には母の家で
 
ゆっくりと風に揺れるコスモスを眺めて・・・
 
百恵ちゃんの『秋桜』を口づさんで
 
暫くの時間を過ごしてみ.る。