街角のとある駐車場で
「オイッ、tsuneさんっ」
「おぅ、Y君」
自転車にまたがって陽に焼けたオッサンが笑っていました。
「久し振りゃなぁ~、元気にしとったんか」
「儂、アホになってもうたんや」
「どうしたんや」
「分からん」」
「分からんって・・・」
「急になってもうたんや」
彼、昔、建具職人さん。
途中から大工さん。
腕の良い、建具職人でした。
建築関係の職人さんは和風の仕事をさせるとその腕が分かります。
我が家の一軒目も二件目も
彼が障子戸から襖、全ての戸を作って呉れました。
気の良い、職人さんですが一番の欠点は話し好き・・・・飲兵衛・・・
フラッと事務所に来ては半日以上座って話し込んでいたり・・・
それも魚釣りとかゴルフとか・・・・
そうでなのです、彼とは何回もゴルフに行ったり、飲みに行ってカラオケ歌ったり、
徹夜で魚釣りにも行ってきました。
でも・・・・事務所に半日も座られたら私も仕事にならないし・・・
彼も仕事にならない筈・・・
「Y君、仕事は?」
「今日は暇なんや・・・」
「何処行くが?一緒に行っても好いか?<、儂、運転するし・・・・」
邪魔とも言えず、何だかんだと運転席に座って仕舞う彼でした。
兄も何人かいたのに彼が足の悪いお母さんと一緒に生活していました。
お母さんの面倒を見ていたと云うよりお母さんが全部やってくれて・・・
オンブにダッコの生活だったかもしれません。
そんな優しかったお母さんが亡くなって数年、
全く連絡もなく、携帯も繋がらず・・・・
少しは心配もしていたのですが・・・
ひょこっと会ったY君でした。
「アイツ、どうしてる・・・」
「えーと・・・な、・・・・駄目や、分からん。ほんとにアホになってもうたんや・・・」
「そんで、どうしてるんや」
今、何処かの施設ぐらしみたいです。
たまには兄弟が来てくれるみたいです。
飲んべぇ・・・だらしないほど・・・・
それが原因かもしれません。
お母さんが亡くなったことが原因かもしれません。
本人も分からず知らず・・・・
分かった処でどうしようもないんだけど、突然の病気って怖いですね。
ただ昔と同じ彼の脳天気的な明るさが救いでした。
再会できるかどうかも分からず、誰も彼の施設名も知らず・・・
元気でいてくれることを願っています。