僅かの洗濯物をぶら下げて妻の病院へ・・・・・
面会を伝えて・・・鍵を開けて貰って
今回の入院で思うことは何と若者の入院患者が多いこと。
食堂やロビーなど殆どが青少年達に占められている・・・・・
それだけこんな病気に冒されている人が多いと云うことなんだろうか
何となく世知辛い、人間としての繋がりも希薄な中に潰されていくのだろうか
ふっとそんな事が気になる。
患者が彼方此方に溢れているような中でも七室位ある面会質室も一杯で
看護士さんが迎えに行っている間、ロビーの椅子に座って暫く・・・・
目だけ光らせた妻が病室を出て、廊下を歩いてくる。
『ぁ、今日も駄目!!話もしないで洗濯物を渡して帰ろう!
なんでこんな状態なのに退院なんて・・・』
そんな事を思っている間に傍に立って
「洗濯物が・・・」
「ワタシを・・・・」喋っているのか怒鳴っているのか良く覚えていない・・・・
病室へ戻る妻を見ながら看護士さんに
「今の態度みましたか?主治医いらっしゃいますか?」
「呼びますね、此方へ・・」
空いた面接室に座ると主治医が廊下を妻の名前を呼びながら歩いてくる・・・
「先生、三者の話し合いでなくて先生に話を・・・・」
「興奮している妻とは今話すことはありません妻と話をさせるのでしたら・・・私帰ります」
そんな処へ妻が部屋へ入ってきた。とたんに又大きな声・・・・
主治医曰く
「そんな夫婦喧嘩のことは・・・」
思わず
「先生、これが夫婦喧嘩ですか・・・ホントにこれが夫婦喧嘩に見えますか・・・」
妻は未だ興奮している・・・・
医師、暫く話を聞いていて
「奥さん、話を聞いていると云ってることが滅茶苦茶、もっと落ち着いて話さないと・・・」
そして
「ご主人の云っていることが正しいです、これは躁ですね、直ぐ注射をしないと・・・・・」
先生、だから云っているじゃないですか、
こんな状態で退院させられたら我が家は地獄ですよ・・・・
今回は下手すると血を見るかもしれない・・・
なんでこんな状態なのに退院の話なんか出て来るのですか・・・・
こんな病気なのに入院して二週間もたたぬ間にもう退院!!
確かに私は彼女の亭主ですよ。
彼女は妻なんです。
私がどうにも出来なくなって入院させたのに
こんな状態のまま退院させられるのだったら入院させた意味も何も無い・・・・・
もうこんなのだったら
県内の病院では受け入れるところもないだろうから
県外を探さねばなんて思ってしまう。
主治医であってこの病院の副院長・・・・・
アンタ本当に専門医かと思う。
どんな病気も患者と家族と主治医がチームになって病気を治すものだと思っている。
妻からすれば何でも聞いてくれる主治医は良い人、良い医者。
直ぐに入院を考える亭主は悪い人・・・・
だから心がブレ出すと止まらなくなるのかもしれない。
表面しか見えない医者と何十年も夫婦でいる亭主と比べて見ても
多分本当の妻の姿を知っているのはやっぱり亭主なのに・・・
背丈も十センチも縮んだのを愛おしく思う亭主の本心を未だに理解できぬ妻が哀れ・・・
今に、今にの気持ちと
多分、きっとの思いがあるから傍にいる亭主の気持ちを分かって欲しいと思う。
もう今晩はぐっすり眠っているだろうけれど・・・・