母の日、
日曜日だけど昼頃まで仕事が残り
 
ようようの事で母の家に着いた。
 
 
誰もいない家の中であり
母はベッドの中でウツラウツラと・・・
 
 
「ばあちゃん、天気が好いし・・・・一寸ドライブでもして来ようか」
 
母は慌ててバックを手にして玄関へ向かう。
 
こんな時の母の素早さには毎回驚いてしまうけれど
戸締りをして玄関へ廻ると母は外で眩しそうな顔をしている。
 
 
外は
空も木々も
流れる川の水も皆光っている。
 
「気持ち好いねぇ・・・ホントにおまえしか・・・・」
 
「好いよ、ばあちゃんそんなこと・・・」
 
少し川を登り山裾を走り
川沿いで車を停めた。
 
「お父ちゃんと川へ良く魚釣りに来たねぇ」
 
少年の頃、夕方になると親父が毛バリを何本も付けて、
水面を流すと
『オイカワ』や『ウグイ』
時には小さいけれど
『アユ』まで釣れて
川原で流木で焼いて食べた事を思いだした。
 
釣ると云うよりそれが目的だったか
食べるのより釣りが目的だったか分からないけれど
 
考えたらいろんな事を親父からも教えられたものである。
 
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「ばあちゃん冷たいソバでも食べて来るか」
 
「好いねぇ」
 
山間の蕎麦屋へ寄って
少し短めに切って貰ったソバを食べて
母は少しは喜んだかもしれない。
 
帰りには何時ものショッピングセンターで
白髪頭に似合うように濃い目のピンクのブラウスを一枚プレゼント。
 
 
途中の車の中で
「tsuneちゃん、最近頭の仲がモジャモジャになって
何がなんか分からんがになってきたよ」
 
そんな事を云っていた母も全てすっかり忘れて
「若く見られるかねぇ~」
なんて喜んでいる。
 
後何度、
一緒に『母の日』を迎えることができるかは
分からないけれど
 
今が良ければそんな先の事はどうでも良くなる。
 
そして又ゴロゴロと家の中。
疲れるようでもあり嬉しいようでもある。
 
 
誰も来ないから母を独り占めして嬉しがっている息子・・・・