少しは母の熱も下がり体調は其々に良くなりつつあった。
気が合うとか合わないとか別として、
夜間のヘルパーさんも断った。
その方が電話で悩むよりずっと楽である。
能登の砂浜

昼間のヘルパーさんはそこそこ優しく母の面倒を看てくれる。
母との会話を傍で聞いていても優しく感じる。
それは母の顔を見ていて分かる。
額にケンも無く、眼も顔も落ち着いている。
それで良いのだと思っている。
どんなに夜のヘルパーさんが
『tsuneさんに云われて来ました』とか云ってもそれは暫くの間の話。
そんなヘルパーさんといても
母も落ち着かないようでもあるし
母の顔がイライラしているのが分かる。
聞いたらヘルパーさんになって未だ日が浅いとか、
浅いとか長いとかの問題でもなく、
人や老人と・・・・・、利用者との接し方も未だ未だ未完成の様でもある。
利用者を自分の思ったように扱おうとしている。
夜は母の食事の後始末なら私で出来るし、
薬を飲むのも私が看ていればそれで良い。
そして母がベッドに入るのを確認して、戸締り、火の始末を見ればそれで済む。
独りで紙パンツをトイレで穿き換えて、すました顔で炬燵に座る母が可笑しい。
「tsuneちゃん、熱いお茶でも飲もうか」
「うん、ばあちゃん自分でするから座っていて・・・・」
座っていても何も無い、母の傍にポットがあり、急須があり、湯のみ茶碗がある。
いち二度使ったお茶っ葉を空の湯のみ茶碗に入れて、
もう次の葉っぱを急須に入れている。
昔から家では御茶の飲み方は半端でない。
誰が来てもお茶が美味しいと誉めてはくれる。
それが母の自慢でもある。
「お茶位は美味しいものを・・・・・」 何時もの口癖でもある。
そして30分、
「ばあちゃん、薬飲まないと・・・・」
「あのね、私の年金をね、兄貴が又持って・・・・・」
この言葉が出ると疲れが何か倍になってしまう。
「ばあちゃん、分かった。
明日調べて来るから・・・・・・嫁さん、待ってるし帰る・・・・」
「あんな嫁さんなんか、ほっておいておいて家に泊まれば・・・・」
「そんな訳にもいかんやろ、泊まるって言ってないし・・・・」
「そうやね、オマエの大事な嫁さんだしね・・・・」
それでも顔が笑っているのに救われる。
「ばあちゃん、帰るよ」
「もう一杯お茶どうや・・・」
又時間が過ぎていく・・・・・
「ばあちゃん、早く寝よ」
ベッドに入った母の肩口の布団を掛け直して・・・・
私がいる時老いた母が笑顔で居てくれるのが嬉しいと思う。