そんな日
 
病院へ寄ってエレベーターを出ると
目の前iに母の姿。
 
ナースセンター前の公衆電話の前で
丸い座椅子に腰かけて
母が小銭入れと10円玉を握りしめて
 
何とも云えない程のやるせない、
切ない顔をして空中をぼ~と眺めている。
 
                                                 石垣の秋
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思わず肩に両手をかけて
 
  「ばあちゃん、何してる・・・・・」
 
  「あっ、来てくれたの・・・今から退院しようかと思って・・・・」
 
  「今日は仕事だから明日なら迎えに来れるよ」
 
又、明日と云ってしまった・・・・なぁ~
 
  「明日来てくれる?」
 
  「うん」
 
又も適当なその場任せの返辞をしてしまった。
可哀そうな、可愛い母である。
 
  「アイスでも買ってくる・・・」
そんな適当な自分が嫌になってその場を1時離れたくなってしまう。
聞き分けて呉れた母に
ご褒美にと階下の売店で又アイスクリームを一つ。
 
  「冷たくて美味しいね・・・・」
 
でもその後がいけない。
 
  「tsuneちゃん、あのね、私の年金をね、兄貴が持って行ってしまうんだよ・・・」
 
家への電話が繋がらないと怒っては呉れない母。 
そんな事も忘れたのだろうか。
聞いていても辛くなってしまう。
 
否定しても仕方なく、かと言って肯定する訳にはいかない。
 
本当はどちらかの中途半端な返辞でなくて
  「本当か、悪い奴だね」
と云ってあげれば母も喜んで良いのかもとも思う。