妹は母の入院手続きと家からの下着を病院へ届けると
もう自分の家へ帰ってしまった。
兄に連絡したのかそれすら電話もない
母が落ち着くまで本当は居て欲しかったけれど彼女も仕事を持つ身であり
そんなことを責めても仕方のないことである。
 
                             故郷・・・・・
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ようやく母の下着の洗濯も終え、
乾燥機もかけ終わり、
茶の間に座って洗濯物をたたみ始める。
 
空しくなってなんだか物悲しくなってくる。
空気も動かないような茶の間の一角
洗濯機も止まり、乾燥機も止まると音の無い空間である。
 
いや、泣きたくなるのは我慢せねばならない。
泣いてもどうにもなるものでなく、
ただそのうら侘びしさと悲しさを耐えるのみである。
 
翌日
洗った下着と着替えのパジャマも何枚か買って病院へ行く。
 
売店でアイスクリームを買っていっても一さじか二さじしか食べない。
食べると云っても口に含むだけ・・・・・
同室の患者さんもいるので暫くで引き揚げるが、
先日と同じ位の洗濯物がベッド脇に転がって出ている。
そんな袋をぶら下げての姿は他人にはどんなふうに見えるだろう。
 
家で袋を破ると独特の匂い
思わず息を止めてしまうほど・・・・・
 
今度は水洗いを先にしてから洗剤を投入する。
勝手に洗濯機は廻っている。うん、誰かみたいと思ってしまう。
 
当然のようにあんなにかかっていた電話もない。
余程体調が悪いのか、体中が痛くて動けないのかふっと気になる。
喧しい位の四六時中の電話が無いとほっとする半面
何か電話を待っているような気持ちもあるし変な心配も出て来る。
 
父の10数年の入院生活、
そして目も開き放しだった最後の1年間の植物人間状態
そんな介護にあんなに一生懸命だった兄弟の繋がりも
何処かへ消えてしまったような気がする。