昔、二十年ほど前・・・・?
計算が合わないナ・・・もっと昔でした。
東京の東神田の交差点の会社に勤めている頃
未だ路面電車が走っていた頃、
偶々会社であるお店の図面を描いていました。
そんな処へ素敵な美人姉妹が訪ねて来ました。
「喫茶店を始めたいのですが・・・・」
住所を確認して夕方訪ねて行く約束をして帰りました。
神田の駅のすぐ近くの旅館のお嬢様二人。
設計図を描いて
見積もりをして
いよいよ旅館の一部を壊して工事に掛かります。
彼女らのお父さんも、お母さんも優しい方達でしたし
二人の姉妹も良く教育された美人で優しい娘さんたちでした。
四国から出て来て
一代で旅館を開業されたようで喫茶店の開業後も
可愛がって大事にして下さいました。
時々は奥の応接間に通されて何回か養子に来て欲しいとの話もありました。
ある朝工事中の現場に行くと娘さんが叱られています。
「tsuneさん、聞いて欲しい。
私も娘たちにお金の苦労はさせて来なかったからだけど
今、その話をしている。
今娘達には 『オマエ達が何処かで帰りの電車代が10円足りないからと云って
誰がその10円を貸して呉れる?
電話をしたいからと云っても誰もその10円をも呉れないぞ』
と話していた処、その細かいけれど10円の貴重さを話していたところなんです」
「どうです? こんな娘ですが一つ・・・・・」
養子さんになっていたら・・・
バブルの頃にその旅館を売って又違う人生だったかも・・・しれませんね。
そして数年前
友人の奥さん(彼女は魚屋さんの娘さんです)曰く
「tsuneさん、商売と云うものは10円でももうけさせて呉れるのがお客さん。
誰も何もしなければその10円さえ手に入らない・・・・・
だからその十円玉に頭を下げているの・・・・・」
今日はそんな10円玉の話。
会社勤めをしていると中々その10円玉、5円玉の有り難さが理解できないみたいですね。
どんな仕事をしていても1円玉の重さを知っているのは経営者。
経営者はその一円が集まって百万になり
再投資をして一千万、五千万、一億になっていく事を知っています。
その日に口座に10円、5円足りなくても小切手、手形は決済できないし、
1円足りなくても口座から引き落としも出来ないのが現実です。
だからその大事さ、貴重さも知っている筈です。
昨年かある会社員が
「tsuneさん、誰それも云ってるけれど俺等、家の会社の社長評判悪いし、嫌いなんや・・・」
「それなら無理しないで会社を辞めたら良いんでない? 社長がアンタ等の為に辞める筈ないよ」
そんな彼らは今もその会社へ勤めています。
三十万払って少ないと文句を云っている社員は五十万払っても少ないと文句を云い、
百万払っても・・・・これだけ仕事をしているのに給料が安いと小言を云いますよね。
どれだけ仕事をしているのか分からないけれど・・・
今の首相でないけれど中小企業の親父連中は皆な、『泥の中のドジョウ』だと思います。
泥の中をピチャ、ピチャと動きながら生きています。
その五円玉、十円玉の重さ、貴重さを知っているから・・・・
何時かは金魚でなくて泥の中でも今のドジョウより大きなウナギを夢見ているのかも・・・・
ただ、今思うことはこんな話を父親から教えて欲しかった・・・・と思っています。
そしたらジッとサラリーマンになって耐えているか教壇に立っていたかもしれません。
今日はなんでこんな事を書きだしたのか・・・・・分かりませんが
今一度遠い昔に夢をみた原点に戻って十円玉の大事さを感じたいと思います。
そして隣の部屋では妻が静かに寝息をたてています。