朝六時過ぎ眼が覚める。
階下へ降りると先ず妻のベッドを覗いてみる。
「おかあさん、おはよう・・・・」
「・・・・・・お・・はよ・・・う」
そしてテーブルの上の新聞を持って、珈琲片手に縁側に座りこむ。
ヤマボウシの実も色づいて

タバコを咥え、ざっと新聞読んで、また煙草・・・・・
空を見上げる・・・
『秋らしくなっきたなぁ』 青空に鰯雲・・・・・・
そして、
よいしょの掛け声とともに立ち上がり、
又ベッドの妻の傍・・・・立ってみる。
今度は
一寸甘えてみて
「おかあさ~ん」なんて云いながら
未だ寝ている彼女の夏布団に潜り込む。
そして頬っぺたにチュッと挨拶して片手を彼女の上において・・・
特別の意味もなく、ここ一、二年の朝の挨拶。
たまには其の儘ウトウトと眠ってしまうこともあるけれど、
そんな事で何となく彼女の具合も分かるような気がする。
もう、入院は良いから・・・・・ずっと家にいてくれればそれでいい。
何時の間にか痩せて小さくなった彼女の体を
抱きしめて
「おかあさん、起きるわっ」
「・・・う・・ん・・・・」
特別彼女に対して
何も出来ないからそうして彼女の体調だけは
気を付けていないといけない。
小さなシングルベッド、
そんなベッドに寝ていても四分の一位しか使っていない。
そして私が半分・・・・
「おかあさん、手を出して・・・・」
そっと妻の手を握ってみる。
柔らかな手のひら。
若かったころの弾力は無いけれどやはり女の手である。
そんな手のひらを離して肩口辺りを触っても弾力の無い肌・・・・・
帰宅してベッドの中の彼女にそんな事をしたら笑われてしまう。
「何しいるが・・・・」
毎朝、毎夕の日課、
抱きしめてみてその日の体調を感じて、
傍にいるだけで
少しは安心を感じて貰おうと思う。
一寸は甘えてみたい想いと一緒に