一昨日の続きです
 
  「ばあちゃん、山へスパゲティ食べに行くかぁ」
              今時は 『バスタ』 と云うのかもしれない・・・・
  「私は食べられないかもしれない」
  「良いよ、箸を貰ってあげるから~」
 
母は嬉しそうにズボンを替えて頭をなでて、
オレンジ色のコートを羽織る。手にはカバン。
 
例によってシートベルトを首にひっかけて
  「分からん、出来ん」 とか云っている。
少し風が冷たくても時々陽が射す日曜日の昼。
近所の山の中腹に出来た団地の中のレストランへ行く。
 
  「おまえはいろんな処知っているねぇ」  頼りない足元、
それでも数段の階段を上って少しお洒落なレストランに入る。
 
メニューを見ても何が何だかわからないけれど
取りあえず珈琲とセットにして頼む。
 
窓から市内の屋根を見降ろして少しばかり母と話をしている。
そんな母を惚けたとは思わない。
 
サラダを食べてこぼし、スパゲティも口からこぼれるけれど
そんな事はどうでも良いのであって
母と二人で窓から外を眺め、
二人の時間を過ごすことが大事かナと思う。
むか~しこんな時間が有ったかなとも思う。・・・・・・無かったかもしれない。
 
こうして眺めると母は昔は写真のように美人で有ったろう・・・・
 
父の事を
  「背が高いから結婚するまで頭が薄くなっていることに気がつかなかった」
と笑う母。
  「そうだろ~、だからホラ、私もてっぺんが薄くなってきて・・・・」  と笑う二人。
 
最近はこんな時間を妻と過ごすことも無いなぁと考えている私。
本当は母といる時は母のこと、
妻といる時は妻のこと、
そんな自分でいたいのに最近はそんな事を冷静に考えていることも無い。
 
春の匂い(能登、七尾効外)
イメージ 1
 
 
窓辺は暖かい。もうそろそろフキノトウも出てきたかなと思う。
決して美味しいものではないけれど春の香りを母と妻に届けたい。
 
母の珈琲と二杯の珈琲を飲んで
  「私が払うよ」 と云う母にそれなら・・・
と勘定を任せ私は運転手。
 
僅かな時間で有ったけれど母には久し振りの気分転換の時間であったろうと思う。
良いではないか、これで。
 
人は認知症が有るとか、惚けて来たとか、
云っていることが分からないとか云うけれど
息子の私には言葉も意味も理解できるし
こうやって二人の時間と会話も楽しむことも出来る訳であるから・・・・
                                             続く
 
 
 
明日から三月ですね。
もう一年の六分の一が終わりました。
 
皆さまにも良い月でありますように