娘と彼氏の結婚についてどうにも承諾出来ない私がいる。
娘を取られたくない云う醜い父親がいるのである。
 
そんな彼氏に次々と無理難題を云う娘の父親って嫌だなぁという思い。
 
一つくらいはお父さんの我儘をきいてくれよと云う父親の子供に対する甘え。
 
何処かでは娘が彼氏を信じてついて行こうと決めた娘の気持ちを大事にしてやりたいという心もある。
二回目、三回目、四回と来宅して頭を下げる娘の彼氏。
それもベッドに入った処に来るから余計やっていられない・・・・
 
そんな頃、中学時代の同級生が郊外でやっているウドン店に昼飯を食べに寄った。
何時ものように雑談の中で
  「弱っているんや、娘が・・・・」 と話をしたのである。
途端に 
  「tsune それは駄目や、おまえの勧める男と仮に一緒になったとしよう、
  そして娘が不幸になったらおまえ、責任とれるんか」  返事に詰ってしまう。
  『そうやなぁ、娘の人生に親が立ち入り出来ないんだなぁ』 と思う。
 
親は自分の都合で娘の人生に立ち入ろうとするし
娘は自分の人生だから自分で歩きたいと思っているのであろう。
もう何時も 「おとうさん、おとうさん」 と後をついてきた子供ではない気もする。
 
ウドン店の店主は中学校出ての直ぐの就職組であるから人生経験は私より七年も先輩である。
中学時代は私の子分の一人であった彼が何時の間にか人間として私より大きくなっている。
 『やっぱりなぁ、私の我儘なんだなぁ』 と云う気持ちがすっきりしている。
たった三言か四言で私の気持ちは半分以下に縮まってしまった。
 
   『そうなんだよなあ、あいつの人生なんだものなぁ』
 
そして又暫くして娘と二人で来ると連絡が入った。
娘一人が帰ってくる依然と違って心のときめきはない。
 
  『tsune、いい加減にしろよ』 と心の中で自分の別の声が聞こえる。
 
多分に娘を取られる・・・・と云う心もあるのだろう。
又ベッドの中へ入った頃に彼氏と娘が入ってくる。
 
  「もう、眠たいし・・・明日にしよう」 なんて気の弱い言葉が私の口から出てしまう。
 
突然娘からの言葉
 
  「おとうさん、ワタシこの人といたら一番心が休まるんや・・・・」
 
  「・・・・・そうか、それなら良かった・・・・・お父さんも分かったよ。二人で頑張ってな」
・・・・・・めでたしめでたし・・・・
 
家の娘の最後の口説き文句にやられました。
結婚したら好きとか嫌いとかでなくて「心安らぐ二人」が一番だと思うのです。
 
私の一番弱い処をつかれたら何も云うことはできませんでした。
 
 
でも、心の中で 『この野郎・・・・』 と云う気持ちは・・・・有ったのか無かったのか、それは秘密です。
 
          
          三話で完了しますので、もう一度だけ娘編の続きを聞いて下さい。