躁の状態を抑えようとする薬は体がしびれると云うか脱力感におかされるらしい。
 
そんな妻を見ていると今度は鬱状態である。見るに見かねて妻には入院を勧め、医者にもたのんでみた。
 
けれど入院先へ行ってみると財布も湯呑茶碗も、箸箱さえ取り上げられ、あれもダメ、これもダメ、そして廊下、病室も異様な雰囲気である
 
そんな病院の中を歩きながら妻が可哀想で
 「私の妻はこんな病気でないんだ!!」 と心の中で叫んでしまう。
 
夜独りで家で考えた。
あの病室は別として、気持ちの安定するまで何日か入院させておいて妻自身がそして他の入院患者が『普通』だと思い込んだら・・・・・・・
これが普通の人であり、普通の生活なんだと思い込んでしまったら取り返しのつかぬことになってしまうのではないか?慌てて次の日退院の手続きをとった。
 
二人きりの生活だから外食でも何でも良いではないのか。
ホコリのせいで死んだということも聞いたこともないし、掃除くらい気の向いたときにすればいい。
 
そう考え、方向づけをし病院で出された薬だけの治療に戻る。
朝から夕方までベッドの中、そして夕食を終えたら又ベッド、そんな生活が続くがそれでも近所の人との話し合いの中にも入っていけるようにもなり小康状態が続くが時々躁、時々鬱の状態が続いた。
 
それでいてあの強い薬がどう妻の体に影響して行くのか、それらが心配であったけれど 国立病院の医者とか。大学病院の医師に相談したり、はたまた元の産婦人科でホルモン剤を飲んだり、鬱の患者さんも入っているという他の内科の病院へ入院してみたり妻も妻なりに一生懸命に努力をしてみたと思う。
 
 
そのうちにある方の紹介で別の精神科の女性の先生の所へ通いだした。
 
女性の体のこと、更年期による体の変化のことは男には分からない。
まして更年期障害による鬱病なんてまったく男には想像のつかないくらいにも感じていたのである。
でも結果的にはこれはこれで良かったのだと思っている。
体の調子や気持ちのやや安定して来た頃には自分でパートの仕事を探してきた妻である