翌日の昼間、来客と話をしていると時
「電話です、お母さんから」 と事務の女性
「あのね、私の年金をね、どうも長男がチョンボしているみたいよ。今銀行に話をしたらどうも〇〇支店で引き出しているみたい・・・・・どうすれば良いの?昼休みの時間なのに何故今来れないの?」
サラリーマンでもないのに、まして零細業者に昼も夜もあるものか。それにしても家のばあちゃん、時間の概念だけはしっかりしていると感心もしていると笑ってしまう。
その日も職場で同じような電話のやり取りが何回かあって、何時ものように八時頃の母の晩御飯も終わらせ台所も片付けて帰宅。
夜も十一時近く自宅で一人だけのコンビニ弁当も食べ終わった頃電話が鳴る。
「あのね、さっき大事なこと忘れていたのだけど私の年金、長男がチョンボしてみたいなの。銀行に聞いたらそんなこと言っていたし・・・・・」
「あのな、ばあちゃん、さっき通帳も見せたやろ。その先は知らんけれど十月も十二月も出してきたし、今度の二月は一緒に出しに行こうよ」
「私のハンコがないの」
「さっき見せただろ、ちゃんとあると思うよ」
「引き出しにしまっておいたのがないの。それで明日ハンコ屋に行って作って来ようと思うの。どうしたらいい?」
「ばあちゃん、そんなことしなくて良いから明日病院へ行っておいで」
「いや、私どこも悪くないし」
「う、うん。でも先生も看護師さんもみんな待ってるよ。ばあちゃん最近来ていないって心配しているよ。
そしてね、みんなと話をしてくるとすっきりするよ。
ばあちゃん、俺にばっかりなついてないで誰でも話をしないとダメになるよ」
「あのね、ハンコがね・・・・・・」
「ばあちゃん、そんな心配ばかりしないで早く寝なさい。風邪引かぬようにして、年寄りもう寝なさい」
「うん、分かった、寝る。おやすみ」