鍋二つをコンロにかけてアスパラガスを茹でながら山芋の皮をむく。今日のおかずはアスパラを茹でてマヨネーズをかけたものと、山芋、白菜のぶつ切り、それにネギを混ぜて醤油と砂糖で味付けして煮込んだもの。茹でながら煮込みながらその間に焦げた鍋や食器を洗ってしまう。
「ホイ、出来たぞ、ばあちちゃん、暖かい間に食べてや」
「何をしているのかと思っていたら、これを作っていたの?これがうまいんだな」
マヨネーズをかけたアスパラをたいらげ、野菜の煮込みもお代わりしてすっかり上機嫌 である。だけど五分もしたら
「実はね、年金をね、長男が自分の口座に持っていってしまうんだよ。あいつは本当に ひどい奴なんだ」
また始まった。十分程そんな話を聞いていたけれど
「ばあちゃん、そうしたら明日確認しておくよ、帰るね、また来るから」
「まだ早いし、今来たところだからもう少しいて・・・・・」
「帰るよ、もう遅いし、また明日来るから」
「なら、また明日来て」
長靴を履いて勝手口から軒先を通って玄関口へ回るともう母は玄関の鍵を開けて戸を開いている。
「風邪引くからいいよ」
そう云うのに門まで出てきて
「気を付けて帰ってね、サイナラ」
一時間少しの時間なのに先ほどの吹雪はすっかりおさまつていた。