道脇に車を止めて軒先に立てかけたスコップで門から玄関までの半分凍りかかった雪をどかす。
わずかな距離でありわずかな時間であるが体全体が中から凍りつくような吹雪のひどい寒い夜であった。
 
思わずポロリと涙がこぼれた。
母のことを兄弟の連中はどう考えているのだろう? こんな寒い夜の母の生活、今晩雪のことなどどう考えているだろうかと思った瞬間である。
玄関の戸を引いてみたがやっぱり鍵だけはしっかりとかかっている。勝手口に回り茶の間に入ると、母は
 「おっ、やっぱり寄ったのか!お帰り。こんなに寒いのに」
 うれしそうなそんな母の姿である。
 「何か食べたの?」
 「何かそこらにあるもので食べた」
そんな母の返事に台所のあたりをみると、また焦げ付いた鍋と食器がいくつかころがっている。
冷蔵庫を開いてみても特別何も入っていない。
最近、何も買い物にも行ってないもんな、そう思いながらも野菜カゴをみて献立を考えてみる。