季節は今秋なのに冬から始まるなんて可笑しいですが自分の元の『日記』がこんな時から始まっているのです。
自分でも変だなとは思うのですがごめんなさい。
          
そして今日から少しずつ書き込みを始めます   
 
 
 
               一
暖冬とはいえ北陸の冬は寒い。その夜は地吹雪のように足元から粉雪が吹きあがっていた。
私は五十五歳、小さな小さな会社の経営者である。
 
この日も仕事を終えて、事務所を出たのが夜の八時過ぎ、家に帰っても妻は入院中で今は家には居ない。
車に積もった雪を払い落し、エンジンを回す。ワイパーまで凍りついていて、慌てて事務所に戻りポットを持ってくる。
 
車を動かすとバリバリと凍りついた雪の割れる音。ゆっくりと車を動かしながら帰途に就く。
今日もまた一人寒くて暗い部屋に帰るのだ・・・・と思いながらも帰ったら
今日は何を食べようかと思ったりして・・・・。
それがフッと思い直して実家に寄ってみようと車のハンドルを切りなおした。
 
思ったとおり玄関の中も外もこうこうと電気がついている。
一人暮らしで、やや老人性の惚けが始まった今年八十四歳になる母が私が事務所の帰りに寄るのを待っているのである。