阿蘇 鈴奈(あそ りんな)

3月21日生 物語開始現在15歳

興味のあることに首を突っ込みたがるが、常識はある。

こうみえても努力家で、目標ができればまっしぐら。

長い黒髪を耳より少し下のあたりでツインテールにしている。

目じりと目頭は同じ高さ

身長 156cm

体重 44kg

好きな物 面白そうなもの・人、洋菓子

嫌いな物 変化がないもの・人、カタツムリ、ナメクジ

神様:ヒノカグツチ

 

伊吹 青嵐(いぶき せいらん)

2月15日生 物語開始現在15歳

猫っぽく、マイペース。でも、困っている人を助けたり、

いじめられている人を助けたりと、正義感をしっかり

持ち合わせている。

黒髪の猫っ毛。釣り目ぎみ

身長165cm(まだまだ伸びるよ!)

体重 57kg

好きな物 自分に興味を示す人、寿司

嫌いな物 辛い物、苦いもの、人を粗末な扱いする人

神様:シナツヒコ

 

球磨 恵水(くま めぐみ)

11月7日生 物語開始現在15歳

鈴奈の幼馴染。おっとりしている。勉強の成績はかなり

優秀で、進学校に通う。兄に鏡花がいる。

亜麻色のショートヘア。澄んだ水色の瞳。

身長 155cm

体重 44kg

好きな物 ぬいぐるみ、クリスマス、兄、友達

嫌いな物 学校、病院、遠出

神様:オモイカネ

 

球磨 鏡花(くま きょうか)

5月5日生 物語開始現在20歳

恵水の兄。中性的な名前と顔立ちなうえ、髪もボブくらいあるため、

初対面の人には性別を認識されない。性別・鏡花

医学部に通う、医者の卵。学部内では首位。

恵水とは違い、黒髪。澄んだ水色の目

身長 170cm

体重 58kg

神様:スクナヒコ

 

神風 天津(かみかぜ あまつ)

9月20日生 物語開始現在19歳

鈴奈の所属する隊の隊長。少し浮ついた言動も

見られるが、基本真面目。少し胡散臭い。

たまに、氷のように冷たい目をしている。

蒔乃とは両思いだが、かくかくしかじかあって

付き合えない状況。

身長175cm

体重 65kg

神様:ツクヨミ

 

名井 蒔乃(ない まきの)

5月4日生 物語開始現在16歳

副隊長。真面目で頼れるお姉さんキャラ。

女の勘が鋭く、頭のいい恵水でもお手上げ

なほど、いい意味でも悪い意味でも頭が回転する。

たまに情緒不安定な状態になるようだが・・・!?

天津と両思いしてる。

黒髪、ロングヘアーをハーフアップにしている。

身長 154cm

体重 44kg

神様 イワナガヒメ

「改めて、僕は神風天津です。驚かせてしまってごめんね。

・・・まあ、驚いたのはこっちもだけど。」

この人は、最初に降ってきて禍々しいものに蹴りを入れた人だ。

「わたしは名井蒔乃。そこのバカの補佐みたいなものですね。」

途中で天津さんに追い付いた人だ。クッキー食べる感覚で

人の悪口言ったぞ、この人。サクッと。

「私は蒔乃と契約を交わしている、イワナガ。みんなからは

イワナガ姫って呼ばれてる。主に植物や鉱物の力を蒔乃に

貸している。」

「そーしーてー!ボクがツクヨミだよ!最初女の子と思った?

実はねー、ボク、男なんだ!」

「ええ!!」

「ボクたち神様は、借主の思う形になって、借主の前に現れるんだ。

あ、借主は人間で、貸主はボク達のような神様や、精霊さん達ね。

でも、性別が決まっている場合は性別は固定されて変更されない

んだ。男であるボクだけど、天津が女の神様って勘違いしたから、

ち○こ生えた女の子、つまり男の娘として天津の前に現れたんだよ!」

やはりツクヨミは男だ。女の子ならち○こなんて下品なこと

あまり言わないと思う・・・。

「そ、そうなんだ…。あ、あたしは阿蘇鈴奈です。

4月から高校一年生です。神風さんや名井さんは何者なんですか。

あの禍々しいものはなんですか。」

あたしがそう問うと、神風さんは真面目な顔で答え始めた。

「僕達は憑人。さっきの変な物が黄泉軍。本来ならば、神様を

持たない人に黄泉軍は見えないはずなんだ。」

後に続くように、名井さんも話し始めた。

「でも、見えるってことは、神様と契約を結べる資質がある

ってこと。ツクヨミ様が何かを感じ取っていたってことは、

きっと憑人の資質があるってこと。だがら、これから

資質の検査をさせていただきますね。」

そういってあたしは検査室みたいなところへ連れて行かれた。

特に怪しい検査はされなかったが、病院で行うような検査では

なく、魑魅魍魎に反応する特別な検査だった。

 

「・・・天津さん、これは・・・・・・。」

「すごいね。もしかしたら、鈴奈さんは・・・。」

「・・・!!」

「わからない。でもきっと、・・・やっと・・・。」

 

「結果が出ました。お察しの通り、憑人です。」

「ここに入るか入らないか自由って言いたいとこだけど、

弟子になりたいって言ってたから入るよね・・・」

「はい!是非はいらせてください!」

「わかった。上の人と交渉してみる・・・」

「その必要はない。」

神風さんよりも声の低い男の人が部屋に入ってきた。白髪で、

どこか威厳を感じる人だ。

「・・・!!師匠(せんせい)!」

「入れ。蒔乃の結果を見させてもらったが、とてもすばらしい

素質だ。・・・ここで働いていて死んだ奴は一人としておらん。

すでにご両親の許可は頂いている。これは遊びでも、町道場でも

ない。一つの立派な組織だからな。入るからにはそれなりの

覚悟をしろ。いいな。」

「は、はい!」

そういって、師匠と呼ばれた人は部屋を出て行った。神風さんや

名井さんの反応を見る限り、一番偉い人なのだろう。

「取りあえず、隊員を紹介しておきますね。来てください、みなさん。」

そう呼ばれて、奥の待機室のような部屋から3人ほど出てきた。

「・・・あれ?恵水と鏡花兄じゃない!!」

「あ!鈴奈ちゃん!!」

「鈴奈もここに入ってきたの?」

「うん、まあ、色々あってね。」

「あれ?知り合い?」

神風さんが目を丸くさせてわたし達を見た。

「オレら、幼馴染なんだよ、天津。」

「本当!?まあ、でも、改めてね!」

「私は球磨恵水。なんて、今さらよね。」

「球磨鏡花。あらたまんなくていいよ。」

そして、もう一人の少年。少々無愛想というか、なじめていないと言うか。

「俺は伊吹青嵐。よろしくな。」

そういってふっと笑った。とっつきにくい人じゃなくて良かった。

「僕が隊長の神風天津。」

「わたしが、副隊長の名井蒔乃。」

一通り名乗り終わったところで、あたしも名乗り、質問タイムに入った。

「神風さんと名井さんはおいくつなんです?鏡花兄が今年21のはず

なんですけど。」

「僕はねー、今年19だよ。蒔乃さんが17歳。」

「・・・なんで、鏡花兄より・・・」

「人間ね、知っていいことと知らないほうがいいことがあるの。

このことに関しては・・・・・・・・知らないほうがいい。少なくとも、

あなたの事を深く知れてないうちは・・・ね。」

名井さんが冷たい目であたしを見る。その目に、あたしは射ぬかれ、

何も言えずにいた。

「ごめんね。蒔乃さん、厳しいから、こういうとこ。」

「あ、あ、はい。あと、なんで名井さんの事をさん付けで

呼んでるんですか?」

「ああー、癖かな。女のひと、さん付けで呼ぶ癖があってね。

年関係無く。」

「そうなんですか・・・。」

この後、鏡花兄がぼそっと教えてくれた。

蒔乃と天津は特別な関係、らしい。付き合っているわけではないけれど、

二人が離れることは、天と地がひっくり返るほどあり得ない、と。

「まあ、天津は蒔乃のこと好きだし、蒔乃も天津の事好き。でも、

付き合えないんだよ。色々あるから。」

「へ、へー。」

「おまえ、阿蘇鈴奈、だっけ。」

後ろから驚かす形で伊吹君が話しかけてきた。

「うわ!びっくりしたー。」

「ごめん、驚かすつもりはなかったんだ。・・・阿蘇さんって、

南森高校、受験してた・・・?」

「あ、うん・・・。」

「やっぱり、見たことあるなって思って、その・・・。俺も、

南森高校受験して、多分、受験の席隣・・・だったような気がする。」

「・・・そう言えば隣だったような気がする。」

「宜しくな、阿蘇さん。」

「下でいいよ、名字呼び慣れないから。」

「じゃあ、俺も下でいい。」

「ふふん、よろしくね、青嵐君。」

「・・・ん。」

こうしてあたしたちのどったんばったんライフが幕を開けたのだ。

――この世には、人ならざる者がいる

それは、魑魅魍魎。それは、妖し。それは、精霊

そして――神。

いつもは市井になじむなり、この世を統治するなり、

人に憑くなりして生活している。

そんな中、極秘中の極秘として、

害の及ばない妖しや精霊、神様の力を借りて、

悪霊退治する集団がいる。

ただ、人に取り憑く悪霊ではない。

使いと主人の関係で、一般市井に攻撃を仕掛けてくる。

街を荒らしかねない悪霊――黄泉軍(よもついくさ)。

それの討伐班が、我々――憑人(つきびと)。

そもそも黄泉軍は我々一般人の目に見えるものではないし、

憑人も、憑人の神様や精霊も、一般人になじんで生活している

ため、都市伝説としてささやかれることが多い。

それらを信じる者もいれば、嘘臭いと信じない者もいる。

あたしは信じている。きっと、その方が楽しいと思うから。

 

あたしは阿蘇鈴奈。この春から高校に入学する。

友達も用事があり、今日は何もすることがなく、

暇だ。

そうだ、一人で都会まで遊びに行こうか。いや、

しかし、微妙にお金がない。交通費はあるのだが、

遊ぶと来月までお金が残るか残らないか微妙な金額だ。

まあいいや!一人で遊ぶのだから特に問題はないだろう。

「お母さん、遊びに行ってくるね!」

「あ、お姉。どこ行くの。」

「んー。特に決めてない。」

「そっかー。じゃあ付いてくのやめよー。」

妹が自分の部屋に戻ったところで、わたしは玄関を出た。

取りあえず大通公園に向かおうか。

そう思い、最寄りの地下鉄から大通公園までの切符を買った。

 

適当に大通公園付近をぶらぶらしていた。クレープやハンバーガー

を売るワゴンカーが、点々と並んでいる。

あるクレープ屋がおいしそうだったので買い、また中心街方面へと

足を運ぼうとした時、生温い風が横切る。

『キ・・・・・・・キキキキキケケケケケケ!!!!キャキャキャキャキャ!!!!!』

禍々しいものがあたしの目の前を通せんぼするようにふさいだ。

鋭い武器をあたしに向けて、猛スピードで突っ込んでくる。

「どーりゃああ!!」

空から男の人が降ってきた。見た目的には同年代~大学1年生

程だろうか。男の人は禍々しいものを蹴り、遠くまで飛ばした。

「ちょっと!飛ばし過ぎです!それに、一般人も巻き込むつもりですか!?」

後ろから女の人も走ってきた。身長的に年下に見える。もしかしたら

同年代くらいかもしれない。

「え?一般人に干渉されない空間作ってたんじゃないの?蒔乃さん。」

「そうですけど、ここに一般人がいる・・・。え?いるの?」

「黄泉軍が・・・・・・見えてたね、この子。」

男の人と女の人顔がどんどんひきつって、笑顔になっている。

しかも、冷汗がだらだらと流れている。

「・・・蒔乃、天津と笑いあってる暇はない。」

顔が包帯でぐるぐる巻かれ、黒髪のショートボブはぼさぼさ、

巨乳で和装の異色あふれる女の人が、蒔乃と呼ばれる

女の人の服をくいくいと引っ張った。

「あ、うん。そ、そそそ、そうだね。うん。やっちゃえー!天津君!!」

「お、おう!」

倒れている禍々しいものを剣でぶすりと刺すと、ギエエエエと言う奇声と

共に黒い砂となって禍々しいものは消えて行った。

「・・・・・・かっこいい・・・。」

そう言うと、二人は後ろを向いて、へ?と言いたげな顔をしていた。

「・・・弟子に、させてください・・・!!」

「「えええええええええええええええええええ!?!?」」

二人が絶叫していると、男の人――多分天津って言う人

の後ろから、悪戯な笑みを浮かべて、少女がピョコンと飛び出た。

「いいのー?ボクどうなってもしらないよー?憑人の特訓は

とーーっても厳しいよ?・・・でも、キミなら鍛える価値が大いに

ありそうだね!お姉様の力を感じる!」

天津さんの足にしがみつきながら、顔だけひょこんとこちらに

向けて、ふふんと満足げに笑っている。ウサギみたいで可愛い

と不覚にも思ってしまった。

「ツクヨミ・・・正気?」

「勿論!このコを仲間にするには十分すぎるほど、価値がある・・・

いや、天津や蒔乃の側に置いておくことすら勿体ないくらい、

すっごく価値があると思うな!」

「・・・バカにしてる?」

「そんなわけ!天津も蒔乃も、今は囚われたお姫様並みの力でしょ、

ボクやイワナガ姫の力は。

お父さんやお母さんの力を使ってこそ、キミたちの本領発揮だもんね!」

「とりあえず、あなた。一緒に本部まで帰っていただきますね~。

事情聴取も兼ねて!」

こうして、あたしは意味のわからないことに巻き込まれてしまったのであった。

僕はカバンを置き、封筒の封を切る。

僕の友人も興味津々に封筒の中の紙を見る。

半分に折り畳まれた紙を開いてみると、赤のマーカーで

でかでかと"0"と書かれていた。0。ただそれだけしか書いてなかった。

「誰かのいたずらなんじゃねーの?あーあ、せっかくお前をいじり倒す

貴重な機会だったのになぁ〜ざーんーねーんー。」

と声を上げてつまらなさそうに友達は席に着いた。

__________赤ペンで0だなんてな。テストじゃあるまいし……

僕はふと頭によぎった考えがバカバカしく感じた。

でももし、僕が国語の比喩だと結論をつけたならば、きっと

この手紙の差出人は僕の事を多少なりは知っていて、僕が

人生の問題児だ。僕に0点を与えたんだ。そうやって卑下したに違いない。



僕が登校してから30分経った頃、体育館へ入るように指示が出た。

そう、入学式だ。中学からいる僕にとっては別にどうだっていい。

だが、高校から入学してきた子もいるため、やらない訳にも行かない。

出席順に椅子に座り、先生の起立や礼の号令に合わせて動く。

校長やPTA会長、生徒会長の話を聞いてるふりをして聞き流す。

やっぱりあまりいい心地はしない。なんだか気だるい。

さっさと終わって家に帰りたい。貴重な放課後自由なんだ。

と心の中で叫んだ。

やっと校歌まで来た。これ終わって担任紹介に行けば教室に戻れる。

そしてあの河川敷に行って思いっきり寝そべってみるんだ。



担任紹介が終わり教室に戻る。これで解散だ。

部活は今日は休みな為、そそくさと教室から出て駐輪場へ向かう。

__________あの河川敷に行こう。念願の野望が叶う。

そのワクワクで僕は満たされそうになった。

数分自転車を漕いで、目的の河川敷に着いた。

自転車を通行の邪魔にならない所に置いて、早速寝そべる。

春特有の生暖かい風が頬をなでる。空は雲と雲が重なって

ふわふわと浮いている。

川には学校や上から流れてきたであろう桜の花びらが

滑らかに流れる。 このまま春の幻想に僕は意識を奪われていった。




次に僕が意識を戻したのはどれくらいたった頃だろうか。

まだ太陽はある程度高い。_________大丈夫、寝過ごしていない。

そう自分に言い聞かせた。そして、またあの比較と目がぎらめく

四角い部屋に戻らなければならないのだ。と改めて認識して

どうしようもないほどのいらだちに苛まれた。しかし、僕が

生きられるのもあの部屋のおかげなのだと、まるで暴力を

振るわれ続けた人間が逆に、暴力なしの生活に怯えていくような

姿に似ていると思うと、苛立ちは収まり、虚しさと自虐の念が

ふつふつと湧いてきた。

立ち上がって草を払おう。そう思って立ち上がろうとしたが、

なぜか立ち上がれずに寝そべったまま固定されて動けない。

金縛りというやつだろうか……?と、無駄に冷静になっている

自分にとても驚いた。今金縛りに遭うのを知っていたかのような

不思議な気分だ。

ふと人の気配を感じた。その気配はどんどん僕の方に近づいてくる。

幽霊だろうか、こんな金縛りに遭ってる時に人が来るなんて…

人の気配は僕の頭辺りで動きを止めた。そして、しゃがんだ。

僕は目を動かして気配を見た。それは、少女だった。それも

時を止めたかのような、冷たくて不思議な雰囲気だった。

「あなた、心が死にそう。」

と、唐突に訳の分からないことを初対面の少女に言われた。

「親の人形になって、できる弟に尊敬されて、もっと人形になって

学校でも友達を友達と認めずに心の無自覚な部分で侮辱してる。

あなたは心が死にかけてる。死人とそう大差ないわね。」

冷たい、凍ったような軽蔑の眼差しを僕に向ける。

そんな目で見られた僕は焦って、心の中がゴチャゴチャになった。

そんな事ない。でも全部きっと事実だろう。ああ、嫌いなもの

全部全部消して消して消して、心を軽く出来たら、春の日差しに

僕の陰りを見抜いて温めて貰えたら。どれほど幸せだろうか……

「いいわ。あなたの望み、叶えられるよ。気に食わないものを

消してしまう能力。でも、万能じゃないの。消したくても消えない

ものも存在するわ。せいぜい自分の力に合わせて使えるようになれる

といいわね。」

どうやら僕の望みが叶ったようだ。でも、1つの望みは叶わず、

冷たい眼差しは変わらず、そのまま立ち上がってどこかへ行ってしまった。

彼女がどこかへ立ち去ると、眩い光が覆う。眩くて目を強く瞑る。

また目を開けた時には動けるようになっていた。

_______金縛りと少女は気の所為??何が起こっていたのだろう。

自分が信じられなくなったが、夢を見たんだ。と言う結論で

引っ括めた。 僕は立ち上がり、草を払って自転車に跨った。

あの、息苦しい生きた屍になる部屋に戻るために。
僕はツイてない。親に有名私立中学校の受験を幼い頃から

押し付けられ、その上、下の兄弟が出来すぎてるせいで

中学受験に受からないともっとひどい事を言われるだろう。

そんな事ばかり考えて迎えた中学受験はなんとか受かったものの、

入ったら入ったで親は成績上位5位以内に僕を入れたがった。

テストの点で75を切ったらこっぴどくしかられた。

「あんた、将来どうなってもいいの?!落ちこぼれになりたいわけ?!」

と言ったような内容を繰り返し、僕に言いつける。

いや、有名中学入っただけである程度未来は保証されてるって…

という屁理屈をずっとずっと飲み込んできた。

兄弟も兄弟で舐めて掛かればいいものを、どういう訳だか

"自分の自慢"といった感じで周りに振り回すのだ。

僕よりもあいつの方が出来るのに……

僕を自慢する度どれほど殴りたくなったか。

しかし、殴れば当然親は兄弟の方につく。


僕に、味方などいないのだ。

小さな反抗も、許されないのだ。



親と兄弟への不満を募り募らせて過ごした中学期を終え、

気づいたら僕は高校生へとなっていた。

親の厳しい目もあってか、僕は中学から今まで上位3,4位辺りを

ふわふわして過ごしていた。

中学時、音楽と美術が3点で横這いだったが、親に怒られることは無かった。

親が見ているのは五教科。ただそれだけなのだ。

「これからも五教科の好成績を修めるように。」

僕に向けられた言葉はそれだけだった。

一方兄弟は、

「今日から中学だな。お前はしっかりしているから心配いらないなぁ。」

と、笑いながらごまごまと会話を続けていた。

僕はいらない。親の顔に泥を塗らないためだけの、

存在と形だけの長男で、長男の器は存在してはいけないのだ。



今日も僕は目に光を宿さず、家を出る。

最寄りの駅で電車に乗り、学校の近くの駅で降り

そこからまた学校まで自転車で10分程走る。

通りはのどかな田園から河川の堤防へと変わる。

堤防と川を比べるとひどい高低差はなく、河川敷にすぐ降りれそうだ。

数少ない心の落ち着く時間といえば、朝この堤防から川を眺めながら

通学する時間だ。川の水面(みなも)が朝日に反射して、その上

空気も澄んでいるため居心地がいい。

願わくば、朝のまま時を止めて、ずっと寝そべっていたい。

その思いは常に頬を切る風と共になめらかに消えていく。

そして何だかんだでいつもの学校に着いた。

いつものように上履きに変えよう、そう思った時

上履きの上に何かが置いてあった。

………封筒だ。茶封筒じゃなくて、手紙やラブレターを

入れるような、あの封筒。

たまたま下駄箱についたクラスの友人がそれを見て

僕のことを冷やかしてきた。

「お前、好かれてるやついたっけ?」

「さぁ……身に覚えが無いね。こんな事されるような。」

「嫌味だろ……。」

「失礼だなぁ…。」

そう言って僕達はまだ人がいない静かな教室へと消えていった。