6. 主治医から家族への説明 | * poco a poco * 少しずつ、一歩ずつ

* poco a poco * 少しずつ、一歩ずつ

2人の子どもたち(娘と息子)、私のありふれた日々をつづっています。
息子は2歳でインフルエンザから痙攣重積型(二相性)急性脳症を患いました。治療やリハビリについても記録しています。



いまさら感がありますが、息子が痙攣重積型急性脳症と診断されたときのことを振り返ります。


お子さんが同じ病気になられた方が

「情報がなくブログが一番役に立った」

とおっしゃっていました。



私もそうでした。

元気だった子が別人のようになり、突然聞いたこともない病名を告げられる。

本当にこの治療でいいのか?

これからどうなるの?

恐怖と不安の毎日でした。


悲しくて苦しい記録ですが、息子が頑張って乗り越えた時期でもあります。

誰かの役に立ちますように。




◆◇



●2/10(日)


主治医から家族への説明があった。


痙攣重積型急性脳症と診断されてから10日。

ひとりは息子の入院に付き添い、もうひとりは上の娘と過ごす。

祖父母には頼れなかったし、娘は病棟に入れなかったし、息子は病棟から出ることができず…

入院してから家族4人がそろうことはなかった。


この日は病棟の外にあるカンファレンス室での説明だったので、娘の同席が許された。

息子は病棟から出ることができなかったので、夫・私・娘の3人だけではあるけどそろうことができて、少しほっとした。




主治医からは、これまでの経緯・治療のこと、これから考えられることなど、画像を見せてもらいながら説明があった。


これまでの治療は、ステロイドパルスとリスパダール・抑肝散(漢方)の服用。

ステロイドパルスは3日間1クール、4日間あけて
最大3クールまででき、この段階で1クールが行われた。


2度目のMRIの結果では、炎症が治ってきていて、浮腫んで見えなくなっていた脳の皺がハッキリしていることが分かった。

これ以上ステロイドパルスを行なっても、効果よりも本人への負担の方が大きいと判断され、ここでステロイドパルスは終了。


不安な病院で過ごすよりも、慣れた環境に戻し、元の生活を少しでも取り戻せるようにしましょう。

とのことで、数日後の退院が決まりました。




脳症の予後としては、知的障害・てんかんなどの後遺症が考えられるそう。


「現時点で多少の自閉傾向が見られます」

という言葉はとてもショックだった。

母親の私の目から見ても発症前の息子の様子との違いは明らかだったので、受容するしかなかった。

就学前には発達検査が必要とのことだった。


てんかんの発症は遠隔期に出てくることもあるので、脳波検査・MRIのフォローが必要のため定期的な通院が決定。


リハビリに関しては、リハビリに特化した大学病院が近くにあるため、そちらに紹介状を書いてくれることになった。



私からは日常生活を送るにあたっての質問をした。


●発熱など病院にかかりたいときは、ここ(総合病院)にくるべきか?
地域のかかりつけ小児科でよいか?

→これまで通りの小児科でよい。(治療内容を伝えてくれるそう)

休日や夜間の場合はここの救急にきてもらって大丈夫。(24時間365日、小児科医がいる)


●予防接種は打っても大丈夫か。

→治療の中で予防接種が打てない成分は使ってないので打てる。
 症状を重症化させないためにも積極的に打つべきである。


●保育園への登園はどうしたらよいか?

→これまで生活の大半を占めていたので、慣れた環境に戻ることはいいこと。
 少しずつ時間を伸ばしていけば、今と同じ時間帯で預けても問題ない。


●日常生活を送るために気をつけることは?

→睡眠・栄養のある食事、なによりもご両親の愛情が必要。
 できることとできないことが見えてくると思うが、できるところを伸ばしていけるかは日々のやりとりにかかってくる。
 できることに着目して伸ばしてあげていって欲しい。


●痙攣重積型急性脳症は指定難病とネットで見たが、小児慢性特定疾患医療費助成について知りたい。

→週明けにもソーシャルワーカーに詳しく説明させる。


●なぜこの病気になってしまったのか。
 インフルエンザの予防接種を一度しか受けられなかったのを後悔している。
 息子の妊娠中、私自身がインフルエンザにかかったことも関係していないか。

→一度でも予防接種を受けていてくれたからよかった。一度も受けていなかったら助けられなかったかもしれない。
 お母さんが妊娠中にインフルエンザにかかったことも何の因果関係もない。

多くの親御さんは、なぜ病気になったのかと原因探しをしてしまう。
今回は交通事故に遭うのと同じで、誰に起こってもおかしくないことだった。



事前に質問をメモをしておいたので、聞きたいことはすべて聞けた。

悲しい現実も聞かされたが全て受容することができた。



静かに聞いていた夫は

「先生たちを信じるしかない。

親の私はやれることやってあげることしかできない」

と言った。

それしか言うことも聞くこともないのかと驚いた。


私が強くならなくては。

私が息子を守るんだ。

そう心に誓った。



◆◇



このとき主治医が

これからも◯◯くんの成長を一緒に見守らせてください。

と言ってくれたことは今でも忘れられません。


不安と恐怖の日々でしたが、1日2回回診にしてくれる主治医・担当医、昼夜問わず面倒を見てくれる看護師。

みんなが息子の味方でした。


病院なんだからそれは当たり前のことかもしれないけれど、

孤独にならず起こっていることを受け入れられたのは、みなさんのおかげでした。


今、振り返ってもそう思います。