生検の翌日、札幌に住む息子と小4の孫娘がやってきた。

 

“癌にいいもの持ってきたからしっかり食べて!”

 

納豆、豆腐、ヒレ肉、ブロッコリー、赤魚、ヨーグルト、牛乳、チーズなどなど、

免疫アップに良い食材をダンボールでどっさり持ってきてくれた。

調べたんだね。

 

ガラガラだった冷蔵庫が満杯になった。

 

他にも六花亭の美味しい菓子と、

“はいよ”と花束を手渡される。

 

“えっ、今日は何の日だっけ?”

 

“花好きだろう”

 

癌だからと大して感慨もなかったが、

この花には参った。

あやうく涙が落ちそうになるのをこらえ、

 

“ありがとう!”

 

小学4年の孫娘はポケットからなにやら取り出し、

“はい、これ”

【病気平穏御守】のお守りだった。

 

図解で息子と孫に詳しく説明。

 

生検の結果待ちだ。

 

生検の処置室に入ると穏やかな曲が流れ、

横になると自動血圧計を巻かれ、モニターから心拍数が流れ始まる。

外来治療室とはいえ、ちょっとした手術室に準ずる趣。

ちょっと驚き。

 

空気が重い。苦手な空気感。

“先生、今お腹が空いてて、もしかしたらグ~となるかも”

と言ったはじからグ~。

 

看護師2人ともにみんなの笑い声。

 

“先生、HPの写真ってだいぶ昔の写真?”

“いや2~3年前かな、今年64だわ”

“先生若い!”

 

“どう、まだイタイ?”

“麻酔ふやしますか?”

 

心臓がどきどきするのがわかる。

“今、心拍数どの位?”と看護師に尋ねる。 “88”

 

普段は60台、緊張しているんだなあ~

 

一週間後の結果はしばしお預け。

その日は横浜にいる。

久しぶりだ。

 

桜をタップリ愛でることにしよう。

娘や孫ともタップリおしゃべりをしよう。

 

甘く芳潤な百合の香りが漂っている。