西武からポスティングシステムによりマリナーズへの移籍が決まった菊池雄星投手が米の記者団に対する質疑をほぼ英語で回答しました。
付け焼刃ではとても英語で回答は出来ませんね。
以前から英会話教室へ通っていたそうで、昨年、ロッカーで外国人選手との日常会話を英語で行っていたそうですから、そうした姿勢は立派だと思います。
野球の練習も大事だし、プロである以上勝利する事も求められます。
でも、野球に限らず、これからのプロスポーツ選手は技術や勝利への精神のほか、英語を身に付けて欲しいと思っています。
野球で言いますと、高校野球の監督は選手に高い技術や勝利を求めます。でも、語学力の重要性までほとんど指導しないでしょう。
選手(生徒)の5年先、10年先を考えると、プロ入りした選手は外国人選手などと会話する機会があるでしょうし、もちろんプロ入りしなくても、また野球の世界と異なる道へ進んでも仕事で外国語を使う機会も出て来るはずです。
語学に限らず、野球が上手なら勉強はしなくて良いとか、野球部員だから追再試験や宿題を免除する、授業中の居眠りを許してしまう、プロ野球ならミーティング無しの魔術采配に等しいですが、学校である以上そういう指導であってはいけないと思います。
「文武両道」という言葉がありますが、ノムさんこと野村克也氏は本で「野球は頭脳のスポーツ」と言っていますし、ノムさんの南海時代の弟子格の江本孟紀さん(法政出身)も本で「投手は頭脳労働者」と言っています。
ノムさんの「ID野球」を紐解いていきますと、プロに入ってから“文”を教育するのではなく、学校時代から“文”を教育するべきだと思います。
そもそも学校でありながら“文”を置き去りにして、“武”ばかりを教育してしまう体育会系部については基本から外れている気がします。
“部”偏重の指導スタイルが、昨今の指導者の体罰の問題へと繋がっているのではないかと考えます。
中日入りした根尾昂選手は学校時代もよく勉強をしていたそうで、「文武両道」という言葉が相応しい選手です。
根尾投手にその様な教育をされたご両親(お医者さんです)も立派です。
根尾選手と同じ大阪桐蔭高校出身の阪神の藤浪晋太郎投手は中学3年で、高校中級レベルの英検準2級を取得されたそうですから、検定試験合格の結果ではなく学びの姿勢という点から立派だと思います。
藤浪投手は大阪桐蔭高校の恩師の西谷浩一監督に毎年ベビースターラーメンを差し入れしているそうですが、藤浪投手や根尾選手ら“文”の意識の優れた選手を育て上げ、選手を社会へ送り出している西谷監督率いる大阪桐蔭高校に大きな魅力を感じます。
プロ・アマを問わず、選手(生徒)を社会人として世に送り出しても恥ずかしくない、そういう指導を心がける監督やコーチこそがスポーツの世界に求められていると思いますし、選手も技術や勝利への精神だけでなく“文”の意識も育んで欲しいと思います。
先日の雄星投手の入団会見は、そうしたところに集約されている気がします。