自民党の憲法改悪草案反対

新設98、99条

内閣総理大臣は、法律で定める緊急事態において、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
緊急事態の宣言が発せられたときは、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる。
何人も、当該宣言に係る事態において国その他公の機関の指示に従わなければならない。

ナチス・ドイツのヒトラーが独裁を築いた全権委任法と同じ権力を実質無期限で内閣に与えます。

 

国家緊急権は戦争などの非常事態において国家の存立を維持するために 国家権力が立法的な憲法秩序を一時停止して非常措置をとる権限の事で、 これを憲法に記載した緊急事態条項は戦争を想定した多くの国で存在しています。 

 

緊急事態条項は過去にヒトラー等がこの条項を悪用して独裁への道を進んだ様に 人権の制限など非常に危険な側面も持つため極めて詳細に条件が規定されています。 

 

しかし自民党改憲草案ではこれらの規定で「法律の定めるところにより」という文言が多用されており、 発動宣言の条件などが与党によって好き勝手に変更出来るものとなっています。

 

 さらに、自民党改憲草案では実質的に緊急事態宣言を永久に延長する事が可能となっています。 具体的には曖昧な発動条件の下で内閣の宣言のみで発動し、 与党が過半数を占める国会で必ず通る承認決議を出し、

 

 発動中は衆議院選挙を自由に延期出来る為に常に与党が過半数の国会を維持出来るため、 民意を無視して永遠と延長を繰り返す事が出来るのです。 これはヒトラーの様に独裁への悪用が可能な非常に危険な事です。
 

最近では東日本大震災やコロナ等の災害を理由に国家緊急権によって人権を制限すべきとの議論もありますが、 実際には災害時には12条の公共の福祉により国家が人権を制限する事が可能であり、 災害対策基本法の警戒区域や検疫法の停留などの措置は公共の福祉により人の移動などが制限されているのです。

 

 つまり災害においては現行憲法で法律のみで対応可能であり、緊急事態条項は戦争や独裁への悪用のために必要なものと言えます。 自民党は「改憲4項目」でまず最初にこの緊急事態条項を憲法に明記しようとしています。

 

「全権委任法(授権法)」とは、ヒトラー内閣に立法権を与える法律であり、 ワイマール憲法48条の「大統領緊急令」による基本的人権の制限下にて当法律を成立させ、 この憲法の条項を悪用して合法的に憲法を骨抜きにした独裁体制を築きました。