- ひらめき脳/茂木 健一郎
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- 茂木さんの脳の研究の指向性は、非常にポジティブです。
- なんというか、探究心だけの研究だけでなく、【現代】を生きるチカラになる研究という感じがする。
- たとえば、【偶有性】という考え方。
【偶有性】とは、大雑把に言えば、
「世の中の半分のことは、ある程度、予測可能で規則的。だけど、残りの半分は、予測不可能で不規則」ということ。
人生は、まさに偶有性の海の中。
この偶有性をいかに楽しめるか、というのが人生を楽しく過ごすポイントだと思う。
では、そんな偶有性の世の中で生きていくのに、もっとも必要なものは何でしょう?
実は、【感情】です。
感情というと、理性に比べて、原始的なものに思われがちですが、そうではないのです。
偶有性の中で、何かを決断するのは、【感情】です。
人間は、不確実性に対処するために、【感情】を発達させてきたのです。
神経科学者のシュルツ氏の言葉に、下記のようなものがあります。
「適切な文脈における不確実性は、それ自体が脳にとっての報酬になりうる」
まさにその通りで、たとえば・・・
・恋愛が楽しいのは、うまくいってても(適切な文脈)、いつ別れるか分からない(不確実性)から楽しい。
・漫才をやるのが楽しいのは、自分たちでは「面白い」と思ってるもの(適切な文脈)が、観客にウケるか分からない(不確実性)から楽しい。
・新規事業を立ち上げるのが楽しいのは、事業モデルを立てても(適切な文脈)、成功するか分からない(不確実性)から楽しい。
etc....
逆に、「適切な文脈があっても、不確実性がないとつまらない」ワケで。
たとえば・・・
・1+1=2 というのは、1と1を足せば(適切な文脈)、2になる(確実性)だけだからつまらない。
一方で、「不適切な文脈の上で起こる、不確実性は意味が分からない」ワケで。
そう考えると、この世の中は、偶有性に満ち満ちていて、何と楽しいことでしょう!
というように、茂木さんの脳科学の本を読むと、すごくポジティブになれるんです。
科学だって、人間がやっている以上、藝術と同じで、研究内容が、「人に生きるチカラを与えるもの」の方がいいですね。