(前略)

1人当たりが生み出す二次感染者数というのは、欧州では平均で2~3人と言われています。

これを「再生産数」と言います。この数が1を割ると、流行が収まっていきます。

2~3人感染者を生み出すような接触のうち、平均50~67%ぐらい以上が削減されると、「再生産数」が1を割るというのが単純計算になります。

2の時は50%以上、3の時は67%以上を削減する必要があります。

しかし、日本では今の流行対策で接触を制限するのは、強制ではなく、要請ベースで行われています。

 

(中略)


どれだけ制限を求めても、介入しきれないところがあるのです。

医療機関はもちろん続けてもらわないといけませんし、性風俗などで止められないところがどうしても存在します。
仮に風営法で止められたとしても、性的接触が止まらないところはたくさんある。

人の行動に介入するのは、一つの数式の計算だけではカバーできません。

そういうことを加味して、二次感染が起こる「再生産数」をもっと詳しく検討していたんです。

医療従事者同士で感染が起こる確率、医療従事者から他の業界の人に感染が起きる確率、風俗の女性から別の人に感染が起こる確率などです。
みなさんの行動をこの数値を元に止めないといけないので、正確に積み上げた数値です。
背後ではもう少し詳しい「再生産数」のデータを作っています。

医療と性風俗には残念ながら介入ができないと仮定して、一般の人口でそれを補填して、二次感染の平均値を1より下げるにはどれぐらい必要か見て「正確に言うと79%」という数字が算出されました。

こういうのを「伝播の異質性」というのですが、人は社会で同じようには振る舞わないのです。

一般企業の人も、個々人で同じ仕事をしていても、友達の多さや交流の活発度は違います。
それを加味したデータを作って、その基本「再生産数」が2.5になるように計算して8割となったわけです。

翻って言うと「制御できない業界を除く接触が8割未満だと流行の制御は難しい」かもしれません。なので、この「8割減少は折れてはいけない数字」なんです。

(後略)