
「 トルバドール・リユニオン」
明日発売の彼らのライブアルバムです。
本日は7月まで続くというそのライブの、日本公演のライブ評を記します。
キャロル・キングがピアノ、ジェイムス・テイラーがアコースティック・ギター、という基本スタイルに、
ザ・セクション(ダニー・コーチマー:G/ラン・カスケル:B/リー・スカラー:Dr)のバンド・サウンドが加わり、
さらにロビー・コンドール(Key)、アンドレア・ゾン(Vo & Fiddle)、ケイト・マルコヴィッツ(Vo)、
アーノルド・マッカラー(Vo)という9人編成。
曲ごとにキャロルとジェイムスがリード・ボーカルをとり合いつつ、
時にキャロルがハンドマイクで前に出てきたり、ジェイムスがテレキャス構えて
ダニーとソロ合戦をしたり、拍手喝采に沸く客席にキャロルが
「ミナサマウツクシイデス!」とか「イッショニウタイマショウ!」とか
片言日本語MCを繰り出したり……という演出も含めたライブ展開は
いちいちオーディエンスの間にどよめきのような歓声を巻き起こしていた。
「きっちりがっちり合わせる」というよりは
個人個人の「揺らぎ」も含めて極上のグルーブへと編み上げていく熟練のバンド・アンサンブルは、
豊かな包容力でもって客席の1人1人を包み込んでもいた。
そして……何よりも神秘的に響いたのは、あまりにもエバーグリーンな2人の歌声そのものだ。
“ソー・ファー・アウェイ”の陽だまりのような優しい歌い回しから
“ナチュラル・ウーマン”のホットロッド&ハスキーなシャウトまで変幻自在に響かせるキャロル。
そして、アーバン・ソウルな曲でも静謐なバラードでも
常にメランコリックさと艶やかさを帯びたジェイムスの声。
「キャロル・キング68歳&ジェイムス・テイラー62歳にしては若い」とかいう次元ではなく、
老いどころか年月の経過すら感じさせない輝きでもって、その歌達は鳴り渡っている。
ステージを練り歩くキャロル&ジェイムスの足取りなどは立派に60代のそれなのだが、
声だけ聴くと2人とも70年代から明らかに時間が止まっている。
彼ら自身にとっても、もう何度歌ってきたかわからないはずのマスターピースたち。
透明な宝石のように磨き抜かれたそれらの曲は、
歌い手/作り手のエゴとは全く無縁の心地好さに満ちている。
音楽が透明度を増せば増すほど、聴く者へより深く強く浸透する……
というポップ・ミュージックの理想型とも言える瞬間だけで構成されたようなステージだった。
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