将棋を指すにあたって戦法というものが存在します。
中には自分が指したいと思っていても、相手の指し手次第ではさせてくれない戦法もありますし、また実現させたとしても相手からの対策によっては不満な進行を強いられることもあります。
それらをいかにクリアし、優勢を築いていくかが序盤研究の意義なのだと思います。
今回は三間飛車党である私が現状でベストだと思う最序盤からの数手を考察していこうと思います。
初手▲7八飛
現代の三間飛車党にはお馴染みのオープニングです。
平成後期までの三間飛車と言えば、初手▲7六歩が普通でしたが、△3四歩▲6六歩と角道を止める展開になると相振り飛車になった際に、先手だけが角を使いづらく不満とされているのが現状の評価です。
そこで角道を止めるのではなく、開けるのを保留するというのが初手▲7八飛の意味合いですね。
加えて▲6六歩の一手を省略しているため、より柔軟に指し手を選ぶことができるというのも大きなメリットです。
もちろん▲7六歩△3四歩▲7八飛のオープニングもあり、菅井八段によるタイトル戦での採用歴もありますが、やはり角交換から△4五角の乱戦が気になるところ。詳しくは『うっかり三間飛車』で調べていただければと思います。
話を戻して、上記のメリットや乱戦を回避する意味合いで初手▲7八飛が現代三間飛車のスタンダードとなったわけです。
①二手目△3四歩
お馴染みの後手の初手ですね。
居飛車振り飛車を明示せず、角を大きく使う意思表示です。
ここで▲7六歩だと先ほどの『うっかり三間飛車』に合流してしまいますので、ここでは別の手が推奨されています。
三手目▲6八銀
これが基本のキですね。
次こそ▲7六歩を狙っており、角交換されてからの△4五角には銀が6七の地点を受けており、無難に▲3八銀で収めることができます。
この▲6八銀は対居飛車、相振り飛車でも損になることは少なく、不満のないオープニングと言えます。
②二手目△8四歩
後手が早々に居飛車を明示した格好です。
三手目▲7六歩
先ほど同様に▲6八銀と悠長に構えていると△8五歩~8六歩が受かりません。
△8五歩には▲7七角と飛車先を受けるスペースを作った自然な一手です。
次に△3四歩なら▲6六歩と角道を止めてオーソドックスな三間飛車にしてもよいですし、▲7五歩と早石田の形を目指す手もあります。
ということで今回はここまでです。
振り飛車の対策の中でも、嬉野流からの鳥刺しや飯島流引き角戦法など、特殊な出だしとなるものを含めて、次回以降の考察対象としていこうと思います。