前々回の記事で段級位のお話を書こうと思っていたのをすっかり忘れていましたね苦笑
そんなわけで私の思い出話を引き合いに出しながら、段級位について少し書いていきます。
将棋を本格的に始めて目標にするのは、やはり初段でしょうか。
目標設定は常に高めにすべし!というのが私の基本理念であって、指導者経験で裏付けられたものです。
この初段というのが厄介なのですよ笑
級位者からすれば憧れ、有段者からすればそこそこという立ち位置です。
さらに高段者からすれば、ぶっちゃけ5級とも大差ないって感じです。
期待勝率9割以上。打率1割未満の打者相手に警戒もしないという話です。
話を戻して、何が厄介かというと認定を受けていない初段が多いのです。
ネットが普及した現代であれば、将棋ウォーズなどが身近にあり、それを基準に段級位を名乗ることができます。
実際、ウォーズの段位って一般的な道場と同じくらいの棋力なので、すこぶる便利です。
実際の棋力より81dojoが1クラスほどやや高め、クエストが2クラスほどやや高め、将棋倶楽部24が1~3ほど低めに出るって感じでしょうか。
そういった母数が大きいサイトでの実績を元に名乗ればいいのですが、それ以外の部分での段位を名乗るパターンが存在します。
言ってしまえば道場での段位です。
今は無き新宿将棋センターは2~3つほど、千駄ヶ谷の連盟道場より高めに段位が出ていた時期がありました。
他にも道場ごとでレベルが分かれていることは多々あります。
そして当たり前なのですが、色んな道場で棋力認定を受けると、一番上の段位を名乗ります。
だからA道場の初段とB道場の初段が対局した時、ひどい時には二枚落ちほどの棋力差が発生していることがあります。
実はこれ、高校時代の私の身内の実話です。
私の同級生にKという男がいます。
彼は高校一年生で高校タイトル戦でベスト4に残るほどの実力者でした。
そんなKは地元のとある道場では二段で指していました。
ちなみに24では四段なので、そこの道場がかなり辛口なのですが笑
24の四段が二段って凄まじい道場ですね。
他の道場に行けば、五段は確実です。
そんな彼に同じく同級生のHが挑みます。
Hも地元の道場では初段認定される程度の棋力がありました。
しかし私が本格的に将棋を始めて二か月足らずで、期待勝率3割程度まで肉薄できる程度の棋力だったと思います。
KとHの対局は部室でほぼ毎日行われていました。
そしてとうとうKが投了する日がやってきました。
夏休みが目前に迫った蒸し暑い日のこと、Hが自信満々に言いました。
「79戦目でやっと勝てたぜ!」
二段と初段の対局でこれほど星が分かれることは通常あり得ませんし、あってはいけないと思っています。
これ以降も毎日HはKに挑み続けますが、Hが勝った姿は二年生に上がるまで見たことがありません。
おしゃべりなHなので、居合わせなかったとしても自慢話は必ず私の耳に入るはずでしょうから、本当に勝てなかったのでしょう。
その後、私が4級に上がった程度の頃、Hとの対局はやや勝ち越しの星勘定でした。
つまり入部した当時のHは5級程度の棋力ながら、初段認定を受けていたのです。
5級対五段。
1:99でも5級の善戦ですね。
しかし認定だけを見れば、初段対二段なのです。
他にも将棋人口が少ない地域に行けば、初段と星勘定が五分だから初段を名乗っているということも起こり得ます。
戦法の得意不得意というものもあり、例えば矢倉が得意だが中飛車に弱い居飛車党のA初段という人がいれば、矢倉で五分なのか、中飛車で五分なのかで相手の棋力が変わってくるのがわかると思います。
A初段が棒銀が得意ならイメージしやすいですね。
得意な形なら力を振るうアマチュアってやはり多いですから。
そんなわけで自称初段はあまり信用ならないというお話でした。
ちなみに私はウォーズの段位を名乗るようにしており、四段の方では弱い方だと自覚しています。
そんな私も地元を離れ、現在暮らしている地方では五段として周りに認知されています。
これも地方の五段の基準で持ち上げられているのでしょう。
嬉しいながらも申し訳なさの方が勝っているのが現実です。
しかし周りの方としても私が四段にいるより、五段でいる方が都合がいいのです。
こういう段級位が平均値とかけ離れている地域では駒落ちは多くないので、平手で負けたときにも言い訳がしやすいからでしょうね。
長くなりましたが、こういった事例があって、段級位と棋力が比例しない事象が起こっているというお話でした。
皆様も目標設定するときは、○○道場の初段や将棋ウォーズの初段といった風に具体的な目標設定をする方が賢明です。
あとは目標設定は高めに。
初段を目指すなら三段くらいを目標にしておく方が立ち止まらずに済みますので。