前回のおさらい

今回はその続編にあたる内容です。
メーンテーマとしてはカウンターの考え方です。
 
前回の要点としては、
  1. 駒得する
  2. 成駒を作る
  3. 駒を捌く
この3つが仕掛けの目的であり、いずれか2つ以上を満たす格好で仕掛けることが有効だという話をしました。
 
そして勝つためには仕掛け→寄せ切るまでを完遂しなければいけません
しかし進行の途中ではどうしても攻め合いという選択をせざるを得ません。
 
今回はそのポイントをまとめていきます。

攻め合いとはなぜ発生するのか

そもそも一方的に攻め潰せば攻め合いは発生しません。
それがなぜ起きるのか、というと相手の玉への攻めが続かないからという一言に尽きます。
 
そもそも攻守が入れ替わるパターンでどのようなことがあるのか、
例を挙げてみれば、以下のようなことが想定されます。
  1. 対抗形で飛車先を突破したが相手の囲いが健在
  2. 矢倉で飛車先を突破したが横が広い
  3. 歩と銀を持ち駒に戻し、飛車を成れたが、龍を引かされてしまった
1.は攻めている場所の違い、2.は敵玉が広い、3.は一定の成果を上げたが攻めがとん挫しているため一度立て直した、となります。
 
イメージできたでしょうか?
 
99%の将棋で一度の攻めで相手を寄せ切ることはほぼほぼ不可能です。
そのため、カウンター攻撃がくるのは必然で、備えないといけないのです。

カウンター攻撃の特徴

それではカウンター攻撃に備えるとして、
どういったパターンが想定できるでしょうか? その特徴とは何でしょう?
 
まずカウンター攻撃の特徴は?と聞かれてピンとくる方は少ないでしょう。
高段者でも当たり前にやっているので、言語化して伝える人も少ないでしょうし、ネット将棋を中心の方なら探す手段すら難しいかもしれません。
それなので知らなくても当然です。
 
それでは解説に入っていきますが、
まず前提として相手がどのような狙いを持って、仕掛けてくるのか。
大別すると、下記の3つになります。
  1. 寄せの速度を逆転させる=直接仕留めに行くパターン
  2. 攻めの軸となる駒を外しにくる=攻めを遅らせるパターン
  3. 受け駒を補充する=受け駒を拾うパターン
言われてみれば、当たり前のことばかりかもしれません。
 
くどいようですが、将棋は先に王将を仕留めた方が勝ちのゲームです。
そのため、こちらが攻めた後のカウンターとなれば、これらの3つの狙いしかあり得ません。
 
逆にこれらに当てはまらない手を指された場合は、無視して攻め続けていれば問題ありません。
それはカウンターを意図していない受けの手なのか、カウンターになっていない手という場合がほとんどです。

両狙いを避ける

カウンターのポイントがわかったところで、ここでキーワードを提示します。
それが“両狙いを避ける”です。
 
こちらが攻め込んだ後、相手は飛車、角、桂馬、香車といった飛び道具を持ち駒に加えていたり、すぐに捌ける形を整えていたりします。
これらの飛び道具は、攻めの起点になりやすく、また取る手も含みにしやすいので、いわゆる両狙いの状況を作りやすいのが特徴です。
 
言うまでもなく、両狙いは受けづらいです。
つまり飛車、角、桂馬、香車などの飛び道具は受けづらい手を生みやすいというわけです。
 
そしてその受けづらい両狙いで、先の3つのパターンのいずれかを狙ってきます
 
ここでの考え方として、重要なのがあらかじめ両狙いの手に備えておくということです。
その場その場で受けていると、盤上に強力な攻め駒をさらに投資されて物量で負けてしまったり、端攻めなど戦線を拡大されて受けが複雑化したりと、不利な条件を押し付けられてしまうこともあります。
間違えたら負けという状況になる前に、あらかじめ両狙いの手に備えておくことで主導権を渡さず、優位に立ち回るのがより合理的でしょう。

両狙いを避けるうえでの4つのポイント

それでは両狙いを避けるうえでのポイントを挙げていきましょう。

  1. 離れ駒をなくす
  2. 打ち込みの隙をなくす
  3. 玉のこびんをケアする
  4. 角のラインを意識する
1.離れ駒をなくす
これが一番わかりやすいですね。
敵陣に作った成駒と一緒に自陣の金駒を目標にされてしまうと、こちらの攻めの速度が落ちるか、相手の攻めの速度が上がるかといった二択を迫られます。
当たり前ですが駒損は避けたいですよね。
仕掛ける前に離れ駒をなくすのは基本中の基本だと覚えておきましょう。
 
2.打ち込みの隙をなくす
両当たりで打たれたくなければ、打たさないというシンプルな考えですね。
桂馬や香車は攻めに使いやすいですが、守りだと心持たないです。
守りの金駒と交換させられるとかなり厄介ですし、飛車や角と組み合わされると攻撃力が格段に上がってしまいます。
 
3.玉のこびんをケアする
美濃囲いには付き物の角と桂のこびん攻めが代表的ですね。
矢倉戦でも7七や6六の地点が急所になりやすいです。
両当たりでの駒取りだけでも厄介なのに、王手が絡むと必ず受けが必要になり、手番を握られてしまいます。
離れ駒もそうですが、玉の安全度を高める意味でもこびん攻めへの備えは必須です。
 
4.角のラインを意識する
これは特に敵陣での自陣角が多いですね。
せっかく成り込んだ歩や桂馬もそうですし、打ち込んだ飛車が簡単に角で取られてしまうと大変です。
また角は動いた先でもうひと働きできたり、馬になったら強力な守り駒として機能してきたりと厄介な駒です。
2.の項目の延長の話ですが、特に角には気を付けてください。

まとめ

長々と続いた話も最後のまとめです。
 
要約すると、
仕掛けはカウンターと切り離すことができないです。
そしてカウンターの狙い筋は、
  1. 寄せの速度を逆転させる=直接仕留めに行くパターン
  2. 攻めの軸となる駒を外しにくる=攻めを遅らせるパターン
  3. 受け駒を補充する=受け駒を拾うパターン
これらのいずれかに当てはまります。
そしてこちらから先に仕掛けた都合上、飛車、角、桂馬、香車を持ち駒にしていることが多く、これらの飛び道具は両狙いをつけやすいです。
両狙いは受けづらいため、先に指されてしまうと厄介です。
 
そのため先に受けておくことが良いです。
その受けのポイントが、
  1. 離れ駒をなくす
  2. 打ち込みの隙をなくす
  3. 玉のこびんをケアする
  4. 角のラインを意識する
これらの4つとなります。
これらを踏まえたうえで自陣の安定性を確保してから仕掛けることで、非常に勝ちやすくなるはずです。