こんなご時世なのでなかなか道場などにも顔を出しづらいのですが、久しぶりに行ってみました。
そこで初段を目指す級位者の方からあった質問が興味深かったので取り上げてみます。
Q.作戦を選ぶ際に持久戦と急戦、どうやって決めているの?
A.事前に決めていることは少ないです。ただ仕掛けのタイミングを伺っていると勝手に持久戦になっていくことが多いです。
以前の私だと穴熊を目指してからどうにかという考え方が多かったです。
ただ上手を持って指導する際に仕掛けのタイミングなどを気にかけることが多くなりました。
感想戦できちんと伝えてあげるためですね。
そこで美濃囲いや舟囲いといった発展性のある、ひとまずの囲いを作ってから相手の手を見て自玉に手を入れていく癖がつきました。
要するに不満なく仕掛けられるなら仕掛けるといったスタイルですね。
そして仕掛けられないなら自陣に手をかける。
高段者同士の対局ならよく発生しますので、この辺が有段者と級位者の境目になりそうです。
自分と相手。双方の攻めと受けを正しく読むことができれば可能となるわけですから。
また最初から持久戦を志向する、急戦を志向するのも悪いわけではありません。
急戦は定跡が整備されていることが多く、正しい攻めと受けの教本が手に入りやすいです。
かくいう私も最初に覚えた定跡は対四間飛車▲57銀急戦でした。
なので正しい攻めの感覚を養うには急戦の勉強は非常に良いでしょう。
また持久戦は金銀四枚で堅く囲うケースも多く、少ない攻め駒で攻める感覚を養うことができます。
私は渡辺名人の四間飛車破り 【居飛車穴熊編】でこの感覚を覚えました。
当時の居飛車穴熊では革新的な内容で、良著としても名高いのでご紹介させていただきました。
あとは横歩取りの空中戦法なども定跡化されているので面白いと思います。
つまりは急戦では飛車角銀桂の正しい攻めのイメージを、持久戦で細い攻めを繋ぐイメージを覚えることができます。
そういった意味では定跡を勉強することは戦法が強くなるというより将棋が強くなることにつながっていくのかもしれませんね。
余談ですが、「型があるから型破り、型がないから形無し」という言葉、私は結構好きです。