乾杯を始めて数日後、家の前の駐車スペースをほうきで掃いていたところ、コンクリートの車止めの横の部分にアオムシのさなぎを見つけた。
「いなくなってしまったと思ってたけど、こんなところまで這ってきて、さなぎになったんだ。」
みかんの鉢は運転席の横に置いてあるので、そこから後輪のクルマ止めまではアオムシにとってはかなりの距離がある。
一生懸命そこまで這っているアオムシの姿を想像したら、なんだか胸が熱くなってしまった。
「ママの今日の乾杯はコレで決まり!早くみんなに教えたいな。」
長男が部活を終えて戻ってくるのを待っていたら、すっかり辺りは暗くなってしまった。
私 「今日のママの乾杯、みんなに見せたいんだ。一緒に外に来てくれる。」
私の手には懐中電灯。
次男「どうして懐中電灯持ってるの?」
私 「うふふ、来てみればわかるよ。」    
懐中電灯で車止めを照らし、しゃがんでみんなでのぞきこむ。
私 「見えた?アオムシ、また食べられちゃったかと思ってたけど、こんなところでさなぎになってたの。
掃除していて見つけたんだ。頑張ってさなぎになったアオムシに乾杯!」
三男「すごいね。こんなところまで来たんだね。」
長男「アオムシにとっては結構な距離だよね。」     

しばらくみんなでじっとさなぎを見つめていた。
皆無言だったけど、確かに頭の中で同じ場面を見ている空気を感じた。
みかんの木から車止めまで、一生懸命這っているアオムシの姿を。                                                                          サンタママウサギ