続き物です。
ホームの屋根を支える鉄骨がブチ折れた日立駅から出されたあと。
足の確保と思い、駅前バス停に行きましたが、当然、バスは動かない。
成田行きのバスも客を満載したまま動かない。
そして襲ってくる余震。
この余震が半端ないですね。震度5は余裕であります。
壊れかけていた看板などが、余震で落ちてきます。
一番激しい余震が来た時はちょうど駅前ロータリーの真ん中辺におりましたので、何も落ちてくるものも
ない場所で安心でしたけれど。
駅前にはかなりの人数が集まっていました。
ローソンがありましたが閉めていましたね。あとで開けたようですけれど。
足の確保の続き。
タクシーはいるのですが、ガソリンに限界があるのでそう遠くまではいけないという話です。
レンタカー屋は軒並み営業停止。
結局、移動手段は見つかりませんでした。
思い起こせば、阪神の震災ではバイクと自転車が活躍しましたが、盲点もありました。
地割れでめくれ上がったアスファルトやコンクリートは、タイヤをパンクさせます。
車でもパンクしますから、自転車なんてゴムが薄いですからすぐにパンクしますね。
阪神の大震災では放置された自転車もたくさん見ました。
それやこれやで、どこかに宿でもとろうかと思案していると、パトカーがやってきました。
スピーカーで叫んでいます。
「十メートルの津波がきます! 高台に避難してください!」
気がつけば、日立駅って海のすぐ近くなんですよね。
駅前からも海がよく見えます。津波らしきものはまだ見えませんでした。
ただ、駅舎自体が海抜十メートルくらいはありそうなので、冷静でいられましたね。
それにしても、高台に逃げろとは。日立市の市街地に高台なんてない! 平らです。
手近なビルで、外階段がついていて屋上まで登れそうなものを物色しました。
津波が迫ってきたらあれに駆け上ろうと。
運がよく、日立市街地までは大津波はきませんでした。
港はやられたようですが、そのときはまったくわかりませんでした。
それにしても、あの時の状態で大津波がきたらほとんどの人が流されてしまったでしょう。
恐ろしいことです。
激しい余震が繰り返す中、移動手段をあきらめて、宿探しを始めました。
小雨まじりの耳を切るような風ですから、野宿では死んでしまいます。
ところがこれがまた難物でした。
<続く>