『Lのミカタ — 世界自然ふしぎな物語 —』
(原作・脚本・監督:あすか響)
【あらすじ】
日本、アメリカ、ドイツ——三つの国の血が流れる少年「L(ルイス)」は、
「グランパ」と、不思議な生き物たちが蠢く「自然界の万象の森」のほとりで暮らしている。
Lには、生き物たちの心の声を「4K映像」のように鮮明に受信し、
ルイスの視点(ミカタ)と自然界の仲間たち(味方)を共有できる特別な力があった。
ある日、Lは、遊びの中で自然界で繰り広げられる不思議で魅力的な仲間たちの意外な姿に触れ、
知らなかった未知の力に触れ彼らの強いミカタになっていく。
ある日、理屈っぽいザリガニや、変幻自在のウーパールーパー、
カナヘビの声を聞き、そしてその様子をそっと見つめ、
見守るグランパとの優しい会話で更に自然との調和を理解していく。
「1%の違和感」を武器に、自然界の未知なる力——再生の科学——を解き明かしながら、
世界の彩りを取り戻す旅に出る。
知的なユーモアと科学的驚異が交差する、
全く新しいネイチャー・エンターテインメントです!
第一話:ザリガニの大説教
【映像描写】
初夏の眩しい光が水面で跳ね、キラキラと反射している。
画面いっぱいに映るのは、ルイス特製割り箸の「イカダ」。
割り箸とタコ糸を駆使し、ドイツ流の几帳面さで組み上げられた
木片のイカダが、アメリカ的な大胆さで水面に放たれる。
その上には、厚切りのウインナーが鎮座している。
水中カメラに切り替わると、水底の泥を巻き上げて、
巨大なアメリカザリガニがモンスターのように、
しかしどこか優雅に近づいてくる。
【物語】
ルイス「グランパ、見てて!今日はこの特製イカダで、
ザリガニさんと真剣勝負なんだ!」
ルイスは、割り箸を丁寧に組んだイカダを小川に浮かべました。
上には美味しそうなウインナーが乗っています。
ルイスにとっては、これが最高の「遊び」であり、ザリガニさんへの
「招待状」でした。
すると、水底から大きなハサミが伸びてきて、
イカダをツンツンと突き戻しました。
ザリガニ「……おい、ルイスくん。お前さんのその『ミカタ(視点)』、
ちょっとだけ僕に貸してごらん」
ザリガニさんの声は、水の底から響く不思議な調べのように
ルイスの心に届きました。
ルイス「えっ? ザリガニさん、僕のイカダ、気に入らなかった?」
ザリガニ「気に入らないわけじゃない。ただね、お前さんが上から見ている
『水面』と、僕が下から見ている『水の世界』は、全く違うものなんだよ。
僕らのハサミや体にあるこの小さな毛はね、
お前さんがエサを置いた瞬間に広がる『匂いの波』や、
イカダが立てる『水の震え』を、歌を聴くように感じ取っているんだ。
お前さんのウインナーの脂が強すぎると、僕らの世界はノイズで真っ暗になっちまう。
川を綺麗にするっていうのは、
僕らの『聴いている世界』を壊さないことなんだよ」
ルイスは、水面に顔を近づけて、ザリガニさんと
同じ目線になろうとしました。
ルイス「そっか……ウインナーは嫌いなんだね、
ザリガニさんの爪にはセンサーがあって、『音』も聞こえるなんて知らなかった。
ごめんね、川を汚して、君の聴いている素敵な音楽を邪魔したなんて・・・」
夕暮れ、空が茜色に染まる頃。泥だらけのルイスが、
何だか少し大人びた顔で帰ってきました。
ルイス「グランパ!ザリガニさんは体中で川の声を聴いているんだって」
グランパは、ルイスを優しく招き入れ、バスタオルでその頭を包み込み
ました。
グランパ「そうか、ルイス。お前がザリガニくんと同じ目線でザリガニさんの世界を見たから、
彼らも心を開いてくれたんだな。
相手の立場になって初めて見える景色がある。
それを学んだお前の今日の遊びは、何よりも価値があるぞ。
さあ、冷えないうちに温かいココアを飲みなさい」
第2話:ダンゴムシさんと「迷路の先にある自由」


