ソーシャルゲームの運営は、そのゲームに対して重い責任を持っている。
ユーザーは要望を出すことしかできず、それに応えるかどうかは運営次第だからだ。
よって、ゲームの中身はおおむね運営次第といえるだろう。

だが、どれだけ運営がいい方向に持っていこうとしても、ユーザーが台無しにしてしまう例が存在する。

白猫プロジェクトVer3.0がそうだ。

白猫プロジェクトは夏ごろに、大型アプデを行った。その名称がVer3.0なわけだが、その内容はそれまで上限がLV100だったものがLV150になり、さらにそのLV150でなければクリアが極めて困難な「グランドプロジェクト」がエンドコンテンツとして実装された。

公式サイト内のVer3.0特設サイト内にその目的が書かれているが、やりがいのある高難易度を求める人と、過去のキャラで遊びたい人の要望に応えるつもりで実装された。

noteの記事でも触れたが、おそらく運営としてはそれに加えて、LV150の旧キャラとLV100の新キャラが共存し、ともに協力バトルで遊んでもらう、ということまでも想定していただろう。

そして、ここからわかることは、グランドプロジェクトにも弱いキャラを強くして使いたいという願望もない人にとっては、LV150にするメリットというのはほとんどないということだ。あるとしたらクエスト初回クリアの石だけだ。

それでもユーザーは、それがまるで義務であるかのように全てのキャラをLV150にすることに躍起になった。

それが一体何をもたらすのか考えもせずに。

もし運営の思惑通りにLV100とLV150が共存することが可能になったなら、ゲームに人を呼ぶ、ゲームから離れさせないという点において大きな恩恵があったはずだ。

1度引退していて古いキャラしか持っていない人でも復帰がしやすくなり、また、無課金でしばらくキャラを引けずにいるうちにインフレしてしまってもキャラのLVを上げることで対応することが出来た。

しかも、それをやるには「めんどうくさかったらやらない」という極めてシンプルな方法でよかった。

しかし、LV150を当たり前にしたことで、それが難しくなった。



運営は、「ユーザーのLV状況を見極めながら今後難易度を上げていく」と明言している。つまり、このままだと最新のキャラをLV150にしてクリア出来るような高難易度や協力バトルが定期的に実装されることは間違いないだろう。
その時、LV100環境なら旧キャラでも活躍が有り得たものが、全く出来なくなってしまう。

これではVer3.0以前と変わらない。
ソシャゲはキャラ性能のインフレは当然で、それを止めることはできず、それが魅力でもあるが、欠点でもある。そして、白猫はそれがあまりに激しい。
そのため、古いキャラが活躍の場を失ってしまいがちで、そんなキャラに愛着を持つユーザーには不満であった。
運営が公式サイトにまとめたメッセージにも、そのようなユーザーを強く意識した文章があった。
それを読めば、そんな環境を作った一因が運営自身にあることを自覚しつつ、それを何とか是正したいと思っていたことがわかる。

俺は、Ver3.0はそれを充分可能に出来たと思っている。

だが、ユーザーによって台無しになった。

きっと、この流れは止めることが出来ない。
ユーザーが急に考えを変えることはないだろうし、ユーザーがそうなら運営は当然のこととして、LV150でちょうどいいクエストを今後実装していくだろう。
その時、LV150は選択ではなく必須になる。
完全に悪循環にハマってしまった。
今後LV200が実装されるのもそう遠くないだろう。

もし俺が運営だったならこんな後悔をする。
「こんなことなら今のサービス終了して『白猫2 』を作れば良かった」

その方が「生まれ変わった白猫」「これまで通りではない白猫」を印象づけられる気がするのだ。
そして「新しいアプリだから」ということで、新規プレイヤーも増えるかもしれない。

現在のユーザーはVer3.0と銘打ったからこそ、これまでの延長線上に過ぎないと考えたのかもしれない。

今白猫で起こっている動きはソシャゲ業界関係者は間違いなくチェックしておいた方がいいだろう。(言われるまでもなくしているかもしれないが)

かつてソシャゲはクオリティが低かった。
静止画を見ながらただタップするだけと言っても過言ではなかった。
そのためゲームごとの差別化がほとんど出来ておらず、新しいゲームが登場する度に古いゲームはたやすく飽きられ消えていった。

だが、正しい歴史は知らないが、俺のイメージだとパズドラの登場により大きく様変わりした。
戦略やプレイングの上達が有り得るようになった。
そして、今年パズドラは8周年、モンストは7周年、白猫は6周年を迎えた。

白猫はかつての勢いに陰りが見えるが、パズドラ、モンストは絶えず売り上げ上位に位置している。
未だサービス終了が近づいているようには見えない。
つまり、新しいものが出るだけで取って代わられていたものが、いまや多くのファンを抱えるようになった結果長寿化し、逆に、新しいゲームはそのシェアを奪うのが難しくなっている。
今後ゲームをリリースする時には原神のように、よほどクオリティの高いものを無料で提供出来なければ、新たな「覇権アプリ」にはならないかもしれない。

そんな時代にあって、現在の長寿アプリは必然的にその姿を変えなければならない。
「変わる前に飽きられた」という状況はそれらのアプリにはもう訪れないだろう。

大型アプデの必然性は高まりこそすれ、下がることはないだろう。

そんな中、白猫が行ったことと、ユーザーの反応は他のソシャゲにとって重要なサンプルになるだろう。
様々な分析があるだろうが、「ユーザーは『今まで通り』を求める」「ユーザーは新機能を実装すると『やらなきゃいけない』と考える」というのは確かだろう。

その意味で、白猫プロジェクトを今始めてみてほしいと思う。きっと、歴史の重要な分岐点を目にすることができるだろう。

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