「静止衛星」というのは人工衛星のことだ。天気予報でおなじみの「ひまわり」がそうだ。

ひまわりは、宇宙空間で観測データを送り続けている。そのほかの静止衛星もそう。
静止衛星のすべては、目的の場所にとどまってそれぞれの役割を果たしている。

しかし、この「静止衛星」は実は「静止して」いない。

ひまわりの場合だと秒速約3kmで移動している。時速にすると約10800km、新幹線の50倍にもなろうかというとんでもないスピードだ。

なぜこんなにも高速で移動しているものを“静止”衛星などというのか?ちっとも止まってなんかいないじゃないか。

これも「動く」ということが相対的なものであることに関係がある。

静止衛星はほとんど赤道直上にあるのだが、例えばひまわりの場合、日本から見て地球の裏側にあっては日本上空の様子を観測できないし、データを送ることもできない。赤道上の、観測し、送信できる位置に常に位置していなければならない。

ここで問題になるのが地球の自転である。

知っての通り、地球は地軸(北極点と南極点を地球を貫いて結んだ線)を中心に回転している。
静止衛星はこの自転の速度についていかなくてはならないため、上記のような高速にせざるを得ない。

もしも、打ち上げたところで本当に“静止”したのなら(つまり時速0kmだったなら)、静止衛星は自転の方向とは逆方向にすっ飛んでいくだろう。※注1

静止衛星の“静止”とは、あくまでも目標地点(ひまわりなら日本)を基準にしたときの場合に過ぎない。

これが例えば、打ち上がった瞬間の地点や、地軸を基準にした場合は高速で動いていることになる。

この記事のタイトルにある問いへの答えも「どこを基準にするかによる」と答えるのが正しい。

注・本記事では話を簡単にするため、地球が太陽の周りを公転していることは考慮に入れていない。

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