・<対人論証>
議論の内容ではなく、論争相手を攻撃すること。

例:スミス師は聖書根本主義者である。したがって、スミス師が進化論に対してどんな反対意見を唱えようとも、まともに取り合う必要はない。

・<権威主義>

例:リチャード・ニクソン大統領をぜひとも再選すべきである。なぜなら、ニクソン大統領は、東南アジアでの戦争を終結させるための計画をもっているからだ。あいにくそれは極秘計画なので、選挙人にそのすばらしさをわかってもらうすべはない。(これは「大統領なのだからニクソンを信頼しろ」ということに等しい。それが間違いであることは後にわかった。)

<「そうじゃないと具合が悪い」式の論証>

例:神はたしかに存在して、罰と報いとをわれわれに割り振っておられる。さもなければ、社会は今よりももっと無法で危険なものになり、無政府状態にさえなっていたかもしれない。
例:妻殺しの疑惑でマスコミをにぎわせた裁判があった。その裁判の被告人は、有罪にされるべきである。さもないと、男たちにどんどん妻を殺せとけしかけることになる。

<無知に訴える>
虚偽だと証明されないものは真実だ、あるいは、真実だと証明されないものは虚偽だという主張。
例:UFOが地球に飛来していないという証拠はない。したがってUFOは存在している―そして宇宙のどこかに知的生命が存在している。
例:宇宙には無数の世界があるかもしれないが、地球よりも道徳的に進んでいる世界は一つも知られていない。したがって、我々はやはり宇宙の中心なのである。(結果に飛びつく堪え性のなさに対しては、この言葉で批判しておこう。「証拠の不在は不在の証拠にあらず」)

<特別訴答>

「手前勝手な議論」ともいう。苦し紛れに使われることが多い。
例 問:一人の女が、命令に背いてリンゴを食べるよう一人の男をそそのかした。それぐらいのことで、慈悲深い神が後世の人々を苦しめるようなことをなさるだろうか?
  答:あなたは自由意志という難解な教義を理解していない。
例 問:一つの位格のうちに、父なる神、その子、聖霊が存在しうるものだろうか?
  答:あなたは三位一体の秘跡を理解していない。
例 問:神は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の信者に対して、愛と哀れみという英雄的な手段をとるように命じられた。それなのに、どうしてこれほど長きにわたって残酷な行いをお許しになっているのだろうか?
  答:あなたはやはり自由意志がわかっていないようだ。いずれにせよ、神の計らいは神秘的なものである。

(続く)

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