『恋』というものの破壊力は凄い。

何かをくつがえす力の、その強さは

並ぶものはないんじゃないかな?











昨日まであんなに
「人間は中身だよ」なんて言ってたのに
新しい口紅を買ったじゃないか。



昨日まであんなに
俺の人生は平凡でいいなんて言ってたのに
今日のネクタイは結構派手なんじゃないか。



昨日まであんなに
平穏が1番だと悟ったみたいだったのに
翻弄されるのすら嬉しそうじゃないか。











あんなに、な「今まで」をこんなにも

いとも簡単に破壊して再構築する

こんなものは他にはないんじゃないだろうか。






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『変容をうながす蝶』
よく見てごらん、原型を留めていない。
それが恋だ。あらゆる物への。











蝶は、ものすごい変容だ。

飛べるとかと飛べないとか

そんな話じゃない。

サナギを脱いでいくように見えるだけで

そう見えるだけで、

服を着たり脱いだりみたいな

そんな話じゃない。

中でいったい何がどうなった。

いちどドロドロにでも溶けて

それから作り直したみたいだ。

原型すら留めてないじゃないか。

トランスフォームなんて目じゃない。








食べるものがガラリと変わったり

体の形状すら変化したり

住む世界、生活圏が変わったり

生きる目的が変わったり

それが恋だ。

恋愛としての

仕事への情熱としての

まだ見ぬ未来への。

人生を変える程の春。











成就はさておいて、変化を味わおう。

味合わなきゃもったいないじゃないか。

体や思考が変容するのを楽しもうじゃないか。

新しい口紅を買おうじゃないか。

ネクタイを新調しようじゃないか。








まるこめ