『恋』というものの破壊力は凄い。
何かをくつがえす力の、その強さは
並ぶものはないんじゃないかな?
昨日まであんなに
「人間は中身だよ」なんて言ってたのに
新しい口紅を買ったじゃないか。
昨日まであんなに
俺の人生は平凡でいいなんて言ってたのに
今日のネクタイは結構派手なんじゃないか。
昨日まであんなに
平穏が1番だと悟ったみたいだったのに
翻弄されるのすら嬉しそうじゃないか。
あんなに、な「今まで」をこんなにも
いとも簡単に破壊して再構築する
こんなものは他にはないんじゃないだろうか。
-------------------
よく見てごらん、原型を留めていない。
それが恋だ。あらゆる物への。
蝶は、ものすごい変容だ。
飛べるとかと飛べないとか
そんな話じゃない。
サナギを脱いでいくように見えるだけで
そう見えるだけで、
服を着たり脱いだりみたいな
そんな話じゃない。
中でいったい何がどうなった。
いちどドロドロにでも溶けて
それから作り直したみたいだ。
原型すら留めてないじゃないか。
トランスフォームなんて目じゃない。
食べるものがガラリと変わったり
体の形状すら変化したり
住む世界、生活圏が変わったり
生きる目的が変わったり
それが恋だ。
恋愛としての
仕事への情熱としての
まだ見ぬ未来への。
人生を変える程の春。
成就はさておいて、変化を味わおう。
味合わなきゃもったいないじゃないか。
体や思考が変容するのを楽しもうじゃないか。
新しい口紅を買おうじゃないか。
ネクタイを新調しようじゃないか。
まるこめ