前回は「気」でした。「気」を使った慣用句の多さからみても、日本人にとって凄く身近で、そして大事なものだということが分かってもらえると思います。
おさらいになりますが、鼻から吸った「天の気」と口から飲食物として摂った「地の気(水穀の気)」が合わさって「真気」になる、と書きました。
特に問題はないですよね。では、今、これを読んでる貴方、ちゃんと「鼻」から空気を取り入れてますか?
最近は鼻呼吸ではなく、口呼吸をしている人が増えています。若者にその傾向が顕著かもしれません。姿勢の問題でもあるし、赤ちゃんの頃、きちんと口を閉じさせ(母乳、哺乳瓶、おしゃぶり等で否が応にも口を閉ざさせた状態)呼吸をさせなかった、とか、色々と要因はありますが、ポカンと口が開いた状態というのは、緊張感の欠如にもみえるし、何より見っとも無いですからね。
見っとも無いだけならいいですけど、東洋医学的には上記のように、この段階で「天の気」が取り入れられてません。ということは、「真気」、すなわち「エネルギー」が生まれないということです。
確かに、口呼吸してる人はエネルギッシュ、活動的には見えないですからねぇ。
おっと、いけない、いけない、私も口呼吸になっとりました…
さて、気はもっと奥深いのですが、同じ話題だと飽きてくるので、今回は違ったものに焦点を当ててみましょう。
地の気=水穀の気の「水穀」というのは飲食物であると書きました。
この水穀が、胃と脾の消化吸収、及び気化作用を受けて生成された「精微な物」、これがすなわち、『精』であります。
ということで、今回は気に匹敵する「精」について、です。
精も気と同じくらい身近なものであります。「精気がない」とか「精一杯」とか「精がつく(料理)」とか「精も根も尽き果てた」でお馴染みですよね。そして、超大事です。
「精微な物」というくらいですから、精は物質です。人体の基礎的物質となり、全身に輸送します。
何を輸送するのかというと、脾と胃で消化吸収されたものというくらいですから、もちろん「栄養」物質であります。
ここで二つの仕事が出てきましたね。「輸送」と「消化吸収」です。
前の「気」でも書きましたが、ここまで何度となく「脾と胃」という名称を使っています。脾は五臓の一つ、胃は六腑の一つです。並べて書いてるくらいなので、この脾と胃(胃と脾)は「表裏」の関係にあります(胃が表、脾が裏)。他の臓腑の表裏以上に密接です。
胃+気の「胃気(胃のエネルギー)」で水穀が消化吸収され、脾+気の「脾気(脾のエネルギー)」で消化吸収された精微な物(栄養物質)から「精気」を抽出し、全身に輸送します。
□ 胃(気)によって水穀を消化吸収し精微な物へ
□ 脾(気)によって精微な物から精気を抽出、全身に輸送
精微な物から「精気」になったものには色々とあります。ここからさらに東洋医学っぽく(専門用語)なっていきます。
■ 水穀中の精微な物から精気 ⇒ 「営」「衛」「血」「津液」に変化
営・衛・血・津液、読めますか?
営は「えい」。栄養の栄だと思ってください。
衛は「え」。栄養物質の一種です。
血は前に出ましたね。「けつ」と読みます。
津液はどうでしょう?「しんえき」と読みます。これまでは「水分(体液)」と書いてきました。
これら営・衛・血・津液についてはいずれ書きましょう。
ここでは「営」「衛」「血」「津液」という精気(栄養物質)がある、くらいに理解しておいてください。
精気(営・衛・血・津液)は「脾」気によって全身に輸送されるわけですが、貯蔵されているところは「腎」です。
腎は五臓六腑からの要請に応じて栄養物質である「精気(営・衛・血・津液)」を随時供給し、各臓腑を養い、健全な働きを維持しているわけです。
腎による精気の供給により「精力(運動能力)」が与えられ、粘り強さや根気を生み出しているわけですね。
□ 腎 = 精気を貯蔵・供給