いまさらですが…
“大塚家具がまたも66億円赤字見通し…”
という記事を見かけたのでこの件について書いてみます。
ダメになる企業の条件はいくつもありますが、大塚家具の場合、
私が感じるのは大きく2つ。
身内でもめている企業に発展はない
広報が機能していない会社に発展はない
大塚久美子社長の方向が間違っているとは思いません。
そもそも久美子社長が社長に就任する前から、大塚家具の業績は陰りが見えていました。
これには理由があります。
前社長の大塚勝久氏の家具へのこだわりや愛をベースにしたビジネスモデルは素晴らしいものでした。
しかしながら、消費者のニーズがニトリやIKEYAのようなリーズナブルでファッション性に富んだものを好むようになったとき、高額で良さが一見わかりづらい家具は、なかなか売れづらい状況になります。
そこを逆手に取ったのが家具の専門家“コンシェルジュ”という考え方です。
これは素晴らしいものだったと思います。
が、これが後々低迷の原因になります。
一言でいえば説明不足。
お客様にその意図。
心が伝わりませんでした。
これは本当にあった話です。
それはベッドタウンに出店したときの出来事。
その施設にはトイザらスもありました。
トイザらスに寄ったついでに新しくオープンした大塚家具にも寄ってみようと入店します。
すると…ピタッとスタッフがついてきます。
そのスタッフは与えられた仕事、お客様に寄り添い家具の相談員の仕事を全うします。
しかし、それを知らないお客様はかえってそれを不快に思ってしまう。
「あそこに行くと無理やり売りつけられる」
「強引な売り方で伸びたから、新宿の三越跡に出店できた」
そんな口コミによるイメージがいつしかできていました。
そんなイメージはボディブロウのように業績に影響を与えていきます。
そんな状況の中で社長に就任したのが久美子社長です。
「気軽に楽しめる。おしゃれな家具…」
久美子社長は会見でそんなようなことを言っていたような気がします。
「職人が心を込めてつくった良い家具を、お客様のニーズに合わせて提供する…」
そんな勝久氏の思い。
どちらも正解です。
私は久美子社長になってから広報に何度かアポイントをお願いしたことがあります。
その時の返答は忙しいから難しいでした。
企業にはメディアを選ぶ権利はあります。
しかしながら、広報担当者がメディアと会わないというのは致命的だと思います。
新商品が出たとか。
イベントがあるとか知らしめるのも大切かもしれません。
しかし一番需要なのは会社の理念や経営者の“心”を代わりに伝える。
また伝えるために準備をすることです。
その広報担当者からはイベントや新商品のリリースのメールはこれでもかと送ってきました。メーリングリストで一斉送信しているのですから簡単なことです。
職人はいちいち説明しない…
職人気質の勝久社長はそれでもいいのです。
しかしその“心”を伝えるべき人がそれをしっかり伝えられないと、逆効果にもなりかねません。
勝久氏の社長時代はわかりませんが、前述の店舗運営を見る限り、広報の勘違いとも思える仕事への対応は悪しき伝統になっていたのかもしれません。
あの親子騒動の後、勝久氏は「匠大塚」を創業しました。
これが同じグループで行われていたら…
お客様のニーズの住み分けによる相乗効果は必ずあったと思います。
新しい家具が入ったときに高揚感。
それは誰も感じてきたと思います。
「家具によって家族の幸せを演出する」
争っている家族から家具を買いたいでしょうか…
素晴らしい“心”を持っているだけにとても残念です。
最後までお読みいただきありがとうございます。
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