こんにちは、内科医 ひとちゃんです
早いもので、10月最後の休日となりました
気温は20℃程度と以前に比べれば低めのですが、青空の広がる、気持ちのよい午後となりました
皆さまの体調は、いかがでしょうか?
秋といえば・・・「食欲の秋」という言葉もありますね
なぜ、秋の季節に食欲が増すのか?・・・を調べてみますと・・・
もちろん、美味しい果物(くだもの)が多いということもあるのでしょうが、次のような原因も考えられるそうです
秋になりますと、日照時間の関係で日光に当たる時間が短くなりますよね
日光に当たる時間が減ると、精神の安定化を保つホルモンの「セロトニン」の分泌が減ってしまうそうです
そうなりますと・・・ヒトの身体(からだ)は、日光に当たる以外でこの「セロトニン」を増やす方法をとらなければなりません
その方法は、実に簡単なことでして・・・糖質・肉類・乳製品などを摂取し、しっかり睡眠をとることが「セロトニン」を増やすというのですね
ヒトの身体(からだ)は、秋になりますと・・・食欲を増進させ睡眠をとることで、「セロトニン」を増やすことにより、精神のバランスを保とうとするのではないかという説もあるようです
今回の話題は、このような時期にこそ、お話をしておきたいお話です
それは、「糖尿病」の話題となります
「糖尿病」には、「1型糖尿病」と「2型糖尿病」があります
「1型糖尿病」は、膵臓にあるインスリンを作るβ(ベータ)細胞が障害されて、インスリンをまったく、或いは、ほとんど作れない状態を指します
「2型糖尿病」は、過食など様々な原因による高血糖に対して、インシュリンが分泌され、この状態が膵臓のβ細胞へのストレス負荷が増えていくということが生じます
今回は、この「2型糖尿病」に関するお話です
話を戻しますと・・・過食など様々な原因による高血糖が続きますと、膵臓のβ細胞へのストレス負荷・・・インスリンの効果が低下したり、インスリンの分泌が低下したりします
このような状態を「インスリン抵抗性」がある状態と言いますが・・・このような状態になりますと・・・「糖尿病予備軍」を経て、続くストレスによりβ細胞が失われてインシュリン分泌が低下する「2型糖尿病」へと発展すると考えられています
これまでの診療では・・・「2型糖尿病」の状態まで血糖のコントロールが悪くなく、かといって、正常ではない「糖尿病予備軍」の方に対しては、簡単な栄養指導などの注意で終わることが多かったかもしれません
しかしながら、実は「糖尿病予備軍」の状態でもマズイかも・・・と思えるような報告がありました
10月4日の「Cell Reports Medicine」 にオンライン掲載をされた論文では、次のようなことが報告されています
1.糖尿病、予備軍、正常人を比べると、予備軍ですでに始まっていると言える変化のほとんどが、「膵臓β細胞」に集中している。そして、変化の中心は炎症や、自然免疫に関わる変化に集中している
このことは、まだ、「2型糖尿病」ではない「糖尿病予備軍」のインシュリン抵抗性状態では、ほとんどの組織の代謝は正常になんとか保たれているのですが・・・
その状態を保つために膵臓β細胞に、かなりの負荷がかかっており、炎症がある状態となっていることを示しています
また、次のようなことも報告されています
2.予備軍から2型糖尿病に発展すると、β細胞では変化はほとんどないにもかかわらず、他の組織で様々な変化が見られる。
すなわち、β細胞のストレスが頂点に達してインシュリン分泌が低下し始めると、各組織の糖代謝の低下に対応する様々な変化が起こると考えられる。
3. 糖尿病予備軍から始まる変化で最も恐ろしいのは、凝固系の亢進で、予備軍から始まることを考えると、インシュリン抵抗性によるストレスが多く寄与していると考えられる
この結果は、covid-19感染で糖尿病とその予備軍が重症化しやすかったこともうまく説明できる可能性があると述べられています
現在、新型コロナウイルスの感染は、第8波が始まるのではないか・・・と警戒をされているわけです
もちろん、オミクロン株の亜種であるわけですので、感染そのものが死亡に結びつくわけではないかもしれません
しかしながら、第7波を振り返ってみますと先にお話をしたように「糖尿病」とその「予備軍」の方が重症化することが多かったという報告もあるわけですね
もちろん、「糖尿病」があっても、きちんと内服薬などにより血糖値をコントロールしたり、その「予備軍」であっても正常範囲にしておけばよいのですが・・・ね
素敵な1週間をお過ごしください
それでは、また
(参考)
1.Cell Repors Medicine. 2022 Oct 18; 3(10)
Organ-specific metabolic pathways distinguish prediabetes, type2 diabetes, and normal tissues
Klev Diamanti ら
2.オールアバウトサイエンスジャパン(AASJ)記事
<ブログ後記>11月1日
本日からは11月となりましたね
今回は、食欲の「秋」に相応しくない(ふわさしくない)と思った方もいらっしゃるかもしれませんね
また、まさに今、「糖尿病予備軍」ですね・・・と言われている方がいらっしゃるとすれば、不愉快な話だと思う方もいらっしゃるかもしれませんね。
なぜなら、糖尿病がある方の人数は日本のみならず世界的に増えており、国や世界の医療・保健機関はその対策に、かなりの努力をしていることが報告されていますし、4人に1人が「糖尿病」か、或いは、
「糖尿病予備軍」であると言われているからなのですね。
もちろん、「糖尿病」であっても効果の優れた(すぐれた)薬剤が多くありますし、それにより、血糖値をコントロールしておけば問題のないことが多いわけです。
「糖尿病予備軍」であっても、摂取するカロリーをコントロールすれば、当然、正常範囲となるはずです。もちろん、その結果として体重を減量できていることになりますが・・・ね。
ところで、「糖尿病予備群」といわれるのは、どのようなときでしょうか?
2型糖尿病の場合、ある日突然、血糖値が高くなるのではありません。多くの場合、ゆっくり、何年もかかって血糖値が高くなり、糖尿病に至ります。まだ糖尿病と診断されるほど血糖値が高くないけれども、正常よりは高くなってきた状態を「糖尿病の境界型」や、「糖尿病予備群」と呼びます。
血糖値の高さを確認する代表的な検査としては、「空腹時血糖値」,
「75g経口ブドウ糖負荷試験(75gOGTT)」, 「HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)値」などの検査をしますと・・・ある程度の診断は可能であるとされています。
(図はお借りしました)
空腹時の血糖値が126mg/dL以上、もしくは食後の血糖値が200mg/dL以上の場合は、糖尿病が非常に疑わしいとされています。
また、食後であっても血糖値が200mg/dL以上になることは、健常者ではないと考えられます。
また、多くの健康診断で取り入れられているデータ・・・
「HbA1c(ヘモグロビン・エー・ワン・シー)」の値は、ご存知の方も多いと思います。
この場合、同時に測定した「HbA1c」の値が・・・6.5%以上なら「糖尿病型」と診断できることになります。
「糖尿病予備軍」は、どこにあてはまるのか?・・・と言いますと・・・上の図の「境界型」という部分にあたります。
「HbA1c」の値が6.0〜6.4となりますね。
それでは・・・あなたの健康診断のデータの「HbA1c」の値が6.3であったら、医療従事者にどのように言われるでしょうか?
体重を減らしてください
食事量を減らし、カロリーの高いものを控えて(ひかえて)ください
運動をしてください・・
などとなることが多いと思います。
この段階では、処方できる薬剤がないから・・・でもあります。
では、本当に体重が減らせるか・・・というと、これはかなり難しいという場合が多い・・・・という印象がありますね。
内科医としての経験からも、個人的な印象からもですね。
BMI 22は、最も病気が少ないとされる体重であり、BMI 20は美容体重というように言われます。
BMI 22を目指し、体質を根本から改善するというのが重要なのだと思います。もちろん、長期間にわたって維持できるスタイルが必要ですよね。
このような観点から、JTKクリニックでは・・・他の医療機関でも処方されているような「経口薬のGLP-1受容体作動薬」というものも処方できるようにしているわけですが・・・
まずは、九州の漢方生薬を扱う老舗(しにせ)である「えのきや薬局 」さんと共同で開発をした「ダイエット漢方」を処方することが多いです。
なぜか・・・と言いますと・・・
「GLP-1受容体作動薬」というのは、糖尿病のお薬としては非常に評判がよいものなのですね。腎不全になることを予防したり、心血管イベント(心筋梗塞など)を抑制するなどの効果などが報告されています。
しかしながら、本格的な糖尿病薬ですから・・・糖尿病がない方がダイエット目的で服用しますと、「低血糖」を生じるリスクがあるのですね。
内科医の私からしますと・・・この「低血糖」が、とても怖いものなのですね。意識を焼失したり、正常な判断ができなくなる可能性もあるかもしれません。
JTKクリニックオリジナルの「ダイエット漢方」の場合は、この「低血糖」のリスクはない・・・ということは、1つのメリットです。
最後に・・・私自身の「HbA1c」の値は、いくつなのか?・・・とよく聞かれますので・・・お答えしておきたいと思います。
以前は、お恥ずかしながら・・・数年前は、6.3でした・・・
今はと言いますと・・・直近(ちょっきん)の検査データは、5.3 となっています
もちろん、BMI 22 をキチンと達成しています・・・ね
もちろん、「糖尿病予備軍」ではなかったとしてもBMI 22より増加していくにつれて、心臓疾患や脳血管疾患で死亡するリスクは高まっていくとされていますので、やはり、そのリスクを減らすためにも・・
・BMI 22にあたる体重まで減量し、それを長い期間にわたり維持することが重要なのだと思います。
(図はお借りしました)
あなたの体調管理に最も熱心なのは、あなた自身であるはずです。
JTKクリニックは、そのお手伝いができたらよいなぁ〜と考えています
今回も最後までお読みいただきまして
ありがとうございました
(以前のphoto:筆者撮影)
理事長、院長
小笠原 均 (Hitoshi Ogasawara)
医学博士
(Case3.)
Instagram: jazz_1700
Twitter:@JtkJazz17000
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<週末に聞いてみたい曲>
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JTKクリニックからのお知らせ
○インフルエンザワクチン接種のご案内
【開始時期】2021年10月18日(月)より
【対象】13歳以上の方(それ以下の方は、ご相談ください。)
【金額】3,500円/回,
2人で同時接種の場合
1人 2,500円/回
○ダイエット漢方製剤は、オンライン診療でも処方が可能です。
○新型コロナワクチン接種後の免疫獲得の有無を確認する
(中和)抗体検査(外部検査機関に委託)を実施しています。
◯漢方薬を用いた治療を行なっています(保険診療)
◯線維筋痛症に対する薬物療法、点滴療法、トリガーポイント注射を行なっております
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