こんにちは、内科医 ひとちゃんですニコニコ

早いもので、9月も半ばを過ぎましたね

 

暦を見ますと七十二候(しちじゅうにこう)では「玄鳥去(つばめさる)」となっているようです

 

春先に日本にやってきたツバメが、南の地域へと帰っていくころ。
ツバメは暖かい地域へ移動しながら一年を過ごすのだそうです

 

なんだか、羨ましい(うらやましい)ですね
 

皆さまの体調は、いかがでしょうか?

 

 

 

さて、巷(ちまた)では秋の健康診断の時期となっているようです

 

その結果から「メタボリックシンドローム」の改善を促される(うながされる)方が多いようです

 

私のもとにも久しく会っていない友人から、「メタボリックシンドローム」だと言われたが・・・どうしたらよいか?などと電話があったりします

 

今回は「メタボリックシンドローム」の話題に触れてみたいと思います

 

世界の国々でも、特に「先進国」では「メタボリックシンドローム」は深刻な問題となっているそうです

 

例えば・・・米国では、50歳以上の人のうち40%以上の割合で「メタボリックシンドローム」があるという報告もあります

 

日本では、日本では、2005年に日本内科学会などの8つの医学系の学会が合同で、「メタボリックシンドローム」の診断基準が作られています

 

          (図はお借りしました)

 

この診断基準からは・・・「内臓脂肪の過剰な蓄積」+「複数の危険因子」を持つことが、心血管疾患を高率に発症することが前提にありますこの基準に当てはまる場合には「食事療法」や「運動療法」などを行い、生活習慣を改善させることで、心血管疾患の発症を予防しましょうね・・・という目的で利用されるのですね

 

(図はお借りしました)

では、腹部に過剰な「内臓脂肪」があると・・・どのようなマズイことが起きる可能性があるのでしょうか?

 

肝臓の門脈の「遊離脂肪酸」というものを過剰にして、肝臓の脂肪蓄積を増大させることがわかっています

 

「脂肪肝」の悪化ということになります

 

さらに「インスリン抵抗性」の状態になるとされています

 

インスリンの効果が減弱してしまうのですね

 

そうなりますと・・・グルコース代謝が障害されて、脂質異常症や高血圧を発症しやすくなります

 

そればかりでなく、血栓形成促進状態(フィブリノーゲンおよびプラスミノーゲンアクチベーターインヒビターIの濃度上昇を伴う)とされています

 

どうでしょうか?

 

「肥満」という状態を改善することは・・・医療も力を注ぐべきであるとは思いませんか?

 

 

素敵な1週間をお過ごしくださいキラキラ

 

それでは、またバイバイ

 

< ブログ後記  >9月20日

 

今回は「メタボリックシンドローム」の話題とさせていただきました。単に「メタボ」を指摘された・・・などと省略されることもありますね。

 

たいていの場合には、単なる話のネタに終わってしまうこともあルカもしれません。

 

しかしながら、この「メタボリックシンドローム」があるのは、マズイじゃないか・・・というわけですね。

 

「内臓脂肪の蓄積」+「いくつかの危険因子」が「メタボリックシンドローム」の定義ではあるのですが・・・その状態が長期間、続くとどうなるのか?・・・という話題は少なくないように思います。

 

動脈硬化、それからくる脳や心臓の血管障害などや糖尿病などが起きるなど、一般的には、肥満の人は慢性疾患のリスクが高いと言われますよね。

 

もちろん、このようなことが生じるリスクが高いことは、以前から知られているのですが・・・

最近の知見では、「これらの「メタボリックシンドローム」のパラメータが、白血球の発達や活性にも変化を与えたり、免疫や病原体防御に大きな影響を与えることが強調されているのですね。

 

また、その逆となりますが・・・免疫系の細胞が「肥満」や「メタボリックシンドローム」関連の慢性疾患の発症に重要な役割を果たすことは十分に立証されているというのですから・・・

ちょっと、驚きます。

 

また、本文内でも触れましたが・・・「肥満」や「メタボリックシンドローム」においては、微小(?)ではありますが、全身の慢性炎症が存在するという考え方もあるようです。

 

この仕組みも解明されているようで、次のようなものとなります。

 

成人では、脂肪組織の拡大は、主に脂肪細胞の肥大化によって起こる。

しかし、脂質に侵され肥大化した脂肪細胞は、細胞内にある小胞体およびミトコンドリアのストレス応答を活性化しやすくなる・・・・というのですね

 

そして、こうしたことが、脂肪組織内の慢性的な炎症状態の活性化を促すと解説もされています。

 

さらに・・・脂肪組織内の持続的な「ストレス」などは、脂肪細胞のアポトーシスと化学伝達物質の放出を引き起こし、炎症性白血球の浸潤をもたらすそうです

 

実際に・・・免疫細胞のひとつである「マクロファージ」は、健康な脂肪組織では細胞の5-10%を占めるそうですが、マウスやヒトの肥大した肥満脂肪組織では全細胞型の50%を占めることもあるそうです。

 

また、健康な対照者と比較して、「メタボリックシンドローム」の被験者は、血漿と皮下脂肪組織中の炎症性サイトカインのレベルが高値であったという報告もあります。

 

とても全部を紹介しきれないのですが・・肥満の人は、大腸がん、乳がん、肝臓がん、膵臓がん、白血病など、さまざまな種類のがんを発症するリスクも高くなるという報告もあるのですね。

 

下に紹介する論文は、結論として次のように述べています。

--------------------------------------------------------------------

「肥満」と「メタボリックシンドローム」が、免疫系に与える重大な影響を強調する。

(中略)

世界中で「肥満度」が上昇すると、代謝性疾患や感染性疾患のリスクが高まるため、これは公衆衛生上の重大な懸念事項である・・・

--------------------------------------------------------------------あなたは、どのように考えますか?

 

 

今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございましたお願い

 

(参考)

Impact of Obesity and Metabolic Syndrome on Immunity

Advances in Nutrition , Vol.7 2016

Catherine J Andersenら   など

 


           (以前のphoto: 筆者撮影)

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元 順天堂大学 膠原病リウマチ科 准教授

日本リウマチ学会 専門医

 

 

 

 

 

 

 

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